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やらない夫と真紅が、小説を読むようです 1.「海」

目次 現行スレ

1 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 21:22:27 ID:zgOhGsTM

「やらない夫と真紅が、小説を読むようです」
      (オリジナル)

◇本日、22時より投下させていただきます。

 ・学べません
 ・基本的に短いです
 ・やや、文章が多いかも・・・
 ・初心者です

どうかご興味がありましたら、ご覧ください。
お願いします。




2 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:00:12 ID:zgOhGsTM




「やらない夫と真紅が、小説を読むようです」

         1.「海」

            r1
           jこ!
           ノ-‐',
          j,. -‐ヘ
          厂_,. -‐',
           ノ-‐ ' ´_,.i
        /r‐_ 二 -‐l、
       ∠ニ二三ニ三ゝ、
      ,イ=ニ二三三チ==、!
     / ! l_L⊥ ┴ァ'     ト、
    ├ー!l {」{_{_ L/ ヽ、ヽ、、 ト、ヽ、
    レ‐i!T{丁フ′`ミミヽ>'´::ヽ、',
     ',___Vて「 --=ミミ,>'´三ミ,:::'、ヽ
     ',. ヘ{{!| -=三/r=ミミ!|li|::: ', l
      ヽノヽ_! =ニj//r,))}}jij:::  ! !
       `ヽ/」三シ!l!t三彡j/::  | l
         ヽレ'´ !三彡'ノ  :.   !
          ト,彡'ト-‐ '´    :;:,. l
          | V´/! : :. :. ::.  /
             ! `くイ :; ,: ::, .:::/
           l   _,へ ___,. -‐ '′
          し'′

3 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:00:59 ID:zgOhGsTM


「彼女はとても、知的で、クールで、それから美人だ」

                      ,r===ュ
                   ㌶㌶㌶
                     _,㍊㍊㍊、_
                  _.._   !` ー --- ‐ ´!
                 ノ: : : ` :!      .:.:!
              ,': :ノ: : : : ` ー --- ‐ ´`"''‐- ..
                j  ! `"''‐- .._: : : : : : : : : : :/i:!
                i  i: : : : : : : : : `"''‐- .:_/: : :il
            ;  ; : : : : : : : : : : : : : : : : !: : : : :il
           ,:. ,: i : : : : : : : : : : : : : : : l : : : : i!
           .′.′; : : : : : : : : : : : : : : : i : : : :.:'
            ; ; : : :!: : ; : ; : : : : : : : : : : .; : : : :;′
            i |:./: : : : : : : ' : ' : : ; : ; : .; : : : !
            | `"''‐- .:_: : : : : : : : : : : ' ; : ; :j
           `"''‐- .._  `"''‐- .:_ : : : :.!; : :′
                 `"''‐- .._  `"''‐:i.;′
                         `"''‐- ;j!


     「そして、どこか子供っぽくて、好奇心旺盛で、可愛らしい」

                _,ィュ、_
              ,. -‐''´ /  `ヽ、`ヽ、
            /     /         ヽ:::.\
          l    /         l:::::::i
          |                |:::::::|
          |                |:::::::|
          ノ               |:::::::|
      ,.へ               |:::::::|
      /.::::::.`:::::.―-......__      /::;/
   /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄::7´
   〈.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
   `  ‐-  、::::::::::::::::::::::::::::::::::/
              `ヽ、::::::::::::::::::/
            `ー― ´

4 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:01:56 ID:zgOhGsTM

「僕が彼女と出会ったのは、大学の図書室だった」

「高いところにある小説に、手が届かなかった彼女の代わりに、
 背の高い僕が手を伸ばしたことが会話のキッカケになった」


 ヽ    /                  \    /
 \ ./   /           ヽ       ∨ ./
   .′  /           \  、       } /  /
    i   .′ / , ,. /   ヽ   l ヽ      Ⅵ  .  /
    |  / i!  i! .! .! .′    l} 、 iヽi、 l!     l!  i  !
   ! i! |! .ハ!_l!_l!_{!    .ri! i !¨l;!キ ト、l!   l!  |. {
 、  '.. {! l!/!ヘ ハl! l!、   j W  l! V l!l!   j!  ;  !
 ノ  ! i! lヘ l! _l!_l!_ l!ヘ   ! | l!j!x==t、l!} l! .ハ   、.i
 `ーァ ヘ!キ {iヾf.{_fY_iヾ'.  l!リ イl!{_fY_i l! ハ!.ljヘ
  〈  ll '. ト 弋zノ    ∨   弋zノ l! ! | リ ハ
   て  l!キ!ヽ!                j!  l!   ヽ
    ` ̄ヘ. ∧、 ""   ′  ""U .オ  /⌒i
        キ .∧\   (  ̄ )   /l! /  .!       /.i
      r‐ヘ .∧―≧:、.  ̄  .≦  ̄l! !   ,'    /  /
      {   キ ∧    r仁Z`iヽ   l. j  i    /  /
      .ハ   '. ∧   ヒンニュウ′  l! ,!   ! 、 /  /
      _ヽ  l  ト、  /〉¨^ー __ノ /     .´ イ      _
     /  \_! .! ヘ´ /     //          ` ̄ ̄ ̄´ ノ
     ノ      ム‐≧三}′   _ /    ヘ     T. ̄ ̄´
  /       {三三三リ  ( ̄  __           ヽ__
./        ヾ-ァ ´   ` ̄´  `ー  ^ヽ、   ,\_ノ

5 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:03:05 ID:zgOhGsTM

「話してみると、彼女は僕と同じ、文学部の一年生に在籍しているようだった。
 そして、どうにも、僕と同じように小説を読むのが好きな人種だったようだ」

        _)≫:::::::::::._ ''"         ` 丶、:::::::::::::.(_
    __(::::::::::::::::::::::/               \::::::::::::::::├─x
   ./ r─.≧:::::::./                 ヽ:::::::::::≪ニ7》
   に二三彡::::.∧                    ハ:::::::::.|\Y《
   仁{_/つ::::∧                    :ハ:::::::) . ) )
  . 廴__,.イて ,'.l                 j | |  |  }::ム辷彡'
   .ハ ; (::::.| |  { | | ハ V     .l   イ.∧ l  | :!.|::::/. | |:| 大人になってから「銀河鉄道の夜」を読むと、
   .ハ ,: l| 辷| l  .V.L | ハ.ヽ    | / ,/7 .Ⅵ jl !.}:::}  .| |:|  以前は気づかなかったことに気づけるの。
   ハ:/ :!l  .|!ト{  .ヘlV>>zリ,,,. ハ  l/./ィ-七7.l ∧リノ|::lハ  | |:|
  .ハ/ ::l|  .|::|ヘ\ =Y´jう㍉`\V/7´たうj.Ⅵ从ンj .|:| .l.  |:|
   /  !|   |::ト叮アト、ヘ. ヒン        ヒン  7イ |ソ}l::| .l   |
  ,'   |   |::|.  | .l∧         ,       ./ ! .|'  川 :l:   i|
  .′  :|   川  .l .|.`ヘ.    r─‐┐   / /l .|    |:   i|
  ;    :l      / リl.  >、.  ` ー ′ .イ.  |..|..    |::   |
  |   ::|    / .∧}./´.::.ニ>tー 'チニ`ーzxノ八.   |::   |
  |   ::|    ./ /´::マ.:.::.:.:/ニ{ 只 }ー=、...:.:.://::Vム  |::   |
  |   |  .//>、::マ: _,::-‐‐'..:》ー.イ :.:..:.::`ー//::〈 .Vム .|::   l
  |   ::l .《∠≪:::::::へ.マ .:.:.:.:.:.::イ|:::::ト、.:.:.::. //:::::::\Vム,!|    |
  |   ::|::: ヽこ二ニミへマ .: : /.:.:|:::::|.:.\__./ムニニ三彡'l::   |
  |   r上≦三ニy__ > 小く. :.:.::::|:::::|:::.. \:::::ィ≪<::::::入.l    |
  | r─{    ¨´`ー三三>-x _|:::::L_,,-‐'¨,ィ<≪三>カl   .|
  | ∨::ヘ.         ̄`¨三≧|:::ィ≦三‐'¨´        .|::≫|ー-、
  | ∨::::`、             .{| ̄ ̄|}            .|:::::::::::::::/
  |  ∨(⌒ヽ          ||    |}          /⌒)::::::::::/

「そんな僕たちが友人になるのに、時間がかかるはずもなかった」
「すぐに、僕は彼女と、読んだ小説の意見を交換するのが好きになる」

             / ̄ ̄\
           /   _,ノ `⌒
            |   .( ⌒)(⌒) へぇ、宮沢賢治も読むのか。
.             |    (___人__)  カンパネルラの旅だよな。
             |        ノ
              .|        |
              人、       |
          ,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ
    ,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
  /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: メ、
  { :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_
  | ::::::::::::::::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ
  '| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
   ト、:::/ / ̄`` ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
   `,ヘ ´:::::::::::::::::. ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rー'、

6 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:05:38 ID:zgOhGsTM

「彼女はよく僕に、自分の好きな小説を薦めてくれた」

 「そして、僕も同じように彼女に小説を薦めることになった。
  このあたりも、必然的な流れがあったように思う」

                、_          , -―  ―- .、          _)
            _ノ        ,  '´              `  、    (_, ^i
         ,.-‐(__       /                     \    _ノ,. -‐-.、
          | r‐-ァ_)   , '                      ヽ   (ノ)<フ /
           rt  ̄(__   //                     `、    )iヘ、X
        i l´ヽク/ノ  //      j            l i       i  (〈_l V /
        ヾ= ,イ(__  l |        小          | |   `i    l ( ゝ---' 小川洋子の「海」という短編集は
          /.:l|i フ | |  { | |  :i| i       |   ,| ト、 |  |  | |  ):i:::|::::|  とても素敵だから、一度読んで欲しいわ。
            /.:/.|l 弋っ| | .: || |、:;| l |      |  /l/ i l|  |  !:i /:::::k:|!:::|
        /.:;/ |! ::|〈 :i.|| 、 | |什三|上i k. |  .j / / リ  |ム j  , j l 〈::::: i:||::::|
        /.::/ | :::| | :| |kl  ヽト.l ,ィ干=tt_ヽ|、 .ノ/_ム廾下、 | /, / /,'i :l|:::: . l:||::::|
        /.:::i  | ::::| | ::|c,ヘ ヽゝイ f¨:::::::ト ̄ヾソ/ノ彳¨::::::} |ト,リ/iノノ | ::|l:::. |:!|/
       \|  | ::::|.|::|{回}) |、`代::.o.ノ       弋::.o,ナ'´ソ! |{廻})::||::::. |l
          | :::::| | :::i⌒ l . |`y   ̄    ,     ̄  / l |´⌒|..::||::::: |!
            | . :::::| ヽ、l  .| .|.∧      ,へ―┐     / . | |  ヽ、||::::: l!
.           | ::::::|     ,! . ,|.  >    i .|__ノ    .<  l . !     |::::. . |
          | . ::::::|    ,.' , '.L. -―....>| .L_  < ,...‐-..、..,| |    |:::::. |
           | :::::::|   ./ /::|..|::::. .:::::::,-,!  |_,,.. -、/~ 〉  .y'k .!     |:::::. . |
            | :::::::|  , ' 人::::| l::::: :::::::;;/ "´     〉 /.、.:::,' .ハ ヘ、  |::::::. |
.          | :::::::レ' , '  ヾ! lに:: '´/   ー<;: { / .::/ ハ\ゝ、`.、 .|::::::. . |
         | ::::::::ト、 ̄二‐- l |.::Y::. i′  _,,__ `Y/ :,.' /   `、ソ ゝ|:::::::. |

「彼女がもっぱら、敬愛していたのは小川洋子という作家だった。
 僕は彼女に会ってから、その作家の小説を初めて読んだ」

7 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:06:43 ID:zgOhGsTM

「結論から言えば、『海』という小説は僕にとても大きな衝撃を与えた」

           / ̄ ̄ \
            _,ノ ヽ、,_  \
          (●)(● )    | ちょっと待った、なんだこのエロさは。
          (__人___)     | 「バタフライ和文タイプ事務所」って短編はすごいな。
          '、`⌒ ´  u  | 正直、活字を題材にして、こんなに官能的になるとは思わなかっただろ。
           |        |
           ヽ 、     イ
           ィヽ-ー ≦ノ7
    _, 、 -― ''"....:::::::::::::::::::::::::::ト、
   /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::........--、
  丿.:::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r::::: {
  r :::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`,::::i
 /.:::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',::i
/.:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V

「小川洋子という作家が書く小説は、非現実的だった。
  だが、それでいて、身体に直接的に響くような生々しさも混在していて、
   奇妙な気配を漂わせていたのだ。それがたまらなく心地よかった」

              _n_r‐vーy、
          i'y厂し'f      ⌒^ト、
          _f !  , ノ-――-  ,    ⌒i_
         コ 上'           \   ム
       ,r┘之,            ヽ   ク
       _ュヾス  /            i  ヒ
     .,イyセ |rュ | | / i||| | | i iヽ i .ユ
   /! f|rェ ij.k' | || |  |||| | | | || | __}'  でしょう?
  < ./| j ||y !,ヒ|r' || |  |||| | | | || |_イ  私も初めて読んだときは驚いたわ。
    V_| | |iム@yウ,| ||+-j-!-jリ!/リ-|-+ !, ハ'
     `L!| └rYィ` l将圭w^   ィ桂永 i ト'
     | | |j!| i|  |戈ン    戈ンy| |
     | | |kヽ._i  | ""    ,  ""/|| |
     | | ||  |  |\    rャ  /| || |
     | | ||  \ \_f二>n<_フl|/j /
     | | ||  /^y./し,  ュ9く,  /ソ/、
     | | || / f二二了 小^  ヒ二ニ7
     | | レ  .ム二二ス__,イト、_{二二ヌ
     | | /    j二二コv  i,l   | ヒ二ラ|_

8 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:07:57 ID:zgOhGsTM

「彼女は決まって、自分の薦めた小説が褒められると、
 自分自身を褒められたかのように喜んだものだ」
               ,...-┐ ,.-―-..、
           ,.イ:::::::::::|/:::::::::::::::::}
        _ r'´::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::ゝ__, -t
         ,イ:::} ヽ:::::::::::::::/::::::::::::::::::::::/:::::::::::}
       /::::::::しi´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r‐'
    , -、く__:::::::l::::l:::::::; ィ ´  ̄ ` ー- 、::::::::::廴
 __,ノ: : /: : /:::::::::; イ            `ヽ:::::_ノ
/:.: : : :r‐r‐'::::::/       i    ヽ ヽ ヽ:〉
〉: : : :く: :|:::::::/        l      :,  ヽ i
: : :.:`:iト、l_::::′ /      !     トム- l !  こういった文章を書ける感性はすごいわね。
: : : : :.{三ミi!/ /    /   i /! i  l lイ 从l /i/   まるで、目で見てきたように非現実を描いてる。
: : : : : ヾ三}i  l    l /-/‐l‐从ヽ レ',イ}ヽ! /}    きっと、この人には感じられる何かがあるんでしょうね。
ゝ: : : : : ヾ/l ト、!   l l' /xョョュ、   ヽ弋リ ! l
 ヽ_; -、: :{ frzヘ  ヽヽ '弋リ      '  八}
.,ィiタハ /}`ヘゞ"ノiヽ、ヽヘ       , ,イ
.ヾミxv三}  ヽ`ー、:__ヽ ヘ-     ̄ ィl !
   ヾ三}   ヽ /: : ヽ `ヽ二ミ}¨ __l,x=ュ
   〃ゞ' ヽ   ∨: : : : : `: ー―-'寸三ミ}
  〃   ヽ   }: : :、: : : : : : : : : : :Vミ三!
  {{      }  l: : : :ヽ: : : : : : : : : : `tリ

             / ̄ ̄\
            /   _,.ノ  ヽ、_
            |    ( ⌒) (⌒)
           |    (___人__)  …あぁ、まったくだろ。
            .|         ノ__
            |     _/  ̄\ヽ
               人、   '、/  ̄ ヽ '、
            _,/(:::::ヽ、  __'-r´ ̄ヽ  v
   _, 、 -― ''"::::::::::\ :::::::::::::::j_√    |
  /.:::::::゙:':、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ    r、
 丿::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞニニ彡〉,
. i ::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::( :::::::::::::::::∧^
/.::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::::::::::∧i
::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::∧ ::::::::::::::::∧|
:::::::::::::::::::::::丿::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::::::::::::v
:::::::::::::::::::::イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ ::::::::::::::::::ノ

「僕はそんな彼女の、子供のような笑顔に強く心を惹かれはじめていた。
 そして、そのことに戸惑いを抱かずにも、いられなかった」

9 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:08:54 ID:zgOhGsTM

「なぜなら、僕がどれほど彼女を異性として意識していても、
 彼女は僕のことを異性として見ていないということがすぐに分かったからだ」

                      - ─- 、       ノノ
                     /      (,ヽ、   ((
                   /     _,ノ___ヽr__i____ ノ
                   /    (√丶丶´v┬─'"  こんなにエロい小説を薦められるなんて…
                    i U   | )     j      男として意識していないってことだろ…
                  ,.ト、     V     /
               _,/( く、.    (    r
        _, 、 -― ''":::::::::::\::::ヽ,ヽ., __r  /⌒ヽニ‐-、
       /;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',;;;;;
      丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::( ;;;;::::::::::... ',;;;;|
     r ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;ハ :;;;;;;::::::::.. ',;;i
    / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::: !;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
    / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::!;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;;;;::::::. ',

「その事実は、僕の戦意を失わせるには、
               あまりに強力だった」

10 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:09:50 ID:zgOhGsTM

「それでも、僕は彼女から目を離すことが出来なかった。
 困ったことに、僕の恋愛感情はずいぶんと根深く巣食ってしまったらしい」

           ヾ:::::::丶:;:;:;:;:;丶::\
           「´::::::::::::::::;:. -‐}、::::ヽ__/:::::::::::L
           `フ:::;.ィ ´    ヾゥ:::;ハ `ヽ.:::::::::人‐┐
              У   ,      〈::::::ハ   !;:::::::`)ヽ、〕
               / i   !   ',   ゙)::::|  |::::::::〈 、 、〉
           ! |  .|   l/!,、 `):::|  |:::::,-'   .|
           、λ、  、   .ノ'ナ l∧ノ`i!  !:::,!|    |  この「缶入りドロップ」って短編もいいわ。
              ヽトヾ、 ヽ!゙ ´ ー‐'  1! {薔}:)' !    !  ほっこりするというか、優しい気持ちになれて。
             ` |゙ |}´   _ ""/l | (ノフ   、   、
              / ,!ゝ  ヾノ__/┴‐イ´   |   |
             l_ー< '⌒ヽ><!'7,.イ`ヽ、   、  、
       ,..--、  /_〕}‐、 (´::::::::::| `≧)::::::ハ    |  |
 ヾ`ヽ,/´,. - '^ヾ、.∧(::::::::Y::::::::::::ゝ==':::::::::::ハ   、  、
.  ヾ'- '"´     ヾv‐‐{〉::::::::::::::::丶ノ::::::::::::::::::::::\. !   !
   \\      ヾ、:::/::::::::::::::::::::::::|::::/'⌒ヽ:::::::::::::`>  .|
    、 、      ヾ、ヾ::::::::::::::::、::::|!´:::::::::::>―^、/ ト、!
     、_ 、      y::::\::::::::::::::、:"::::::::/!`ヾ<.    !l、 、
    ._i^!レr 、,. -≦´:::::゙:::|:;:ヾ:::::::::::::::::/::::∧::::::::\  ||  ',
    {::ヽ  ヾ:::::::、::::r‐::':;:;:;:;\::::::/:;/´:::::∧:::::、::〉 .!!  、
     ゙ー1`=〈::::ノ:::/!::::::::;:;:::::::: ̄:/:::::::::::::i:ヾ:;::::::〉 ,'l    !


           / ̄ ̄ \
            _,ノ ヽ、,_  \
          (●)(● )    |
          (__人___)     |  …あぁ、たしか、子供をあやすオジさんの話だったよな。
          '、`⌒ ´    |    二ページたらずなのに、妙に印象深く残ってる。
           |        |
           ヽ 、     イ
           ィヽ-ー ≦ノ7
    _, 、 -― ''"....:::::::::::::::::::::::::::ト、
   /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::........--、
  丿.:::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r::::: {
  r :::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`,::::i
 /.:::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',::i
/.:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V

「このまま彼女に意識されることなく、ひとりの友人として過ごせるのなら、
 それもまた良い生活ではないか、とも考えられた」

11 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:10:56 ID:zgOhGsTM

「こうして、僕の片思いなんてものに彼女は気づきもしないまま、
 僕たちはいつものように小説を読んで、語り合った」

  「僕たちが会う場所はほとんどが図書室で、気が向けば学内のカフェに向かう時もあった」

                      ,. '   ヽ
                    ,.イ     /
                ,. - ' /三三_   /
       _      ,_,.. /  / ̄ ̄ ̄ `ヽ r-ァ― 、
       / ヽ  /..f|    -|         ヽ〔 三  ヽ.
      |   ヽ/....三l    v'           ヽ./   |!
      f   l! .|三三l   f  /          \  j
      __ゝ,. l. l.三三|   /   /        .i       V,.,__ 短編が気に入ったなら長編も読んで欲しいわ。
      7 ゝォ ゝ!三三|/ ,′´/  ̄`メ| l   |       ヾ三. / 代表作は「博士の愛した数式」だけど、
       攸.  |三,r !{ !  /{_/} | |  ,′ !      〕三 /「凍りついた香り」や「沈黙博物館」も素敵だわ。
      / 〉'´ヽ 〉rt:ヾ|Ⅵ ,ィf爪 心、 リ  /  | }、  }  |ニトv'
    'Y |i ヽヽ√ミfr@jY/, f{ん'///  ´_}/ 从ノレ∧ ′rイ`!i
    ヾ,/¨ヽ ヽヘ`´〃l ヘ代辷ン     厶ィj',ィ笊/  / /:::L_l!
.   ,' /   N  `ー、 Vリ`           ん/,厶イノ _∧::|
   {, ´ ̄ ̄`ヽ\j、人|! | ヽヽヽ   , 弋ン/if |  f ルヘ
   /       \   |! |       -   ヽ ,イヘ`ヽ | ./∧ \
.  /     ´ ̄ ̄/ ̄ ̄|! |`Y⌒ヽ、     人  ´ヽ // f'|`ー,i
  {   / ̄/      |! \ノ   ハ=‐r<  \ ./∧ .|  l
 ハ    ´ ̄         \  \    ヽ(_ノ }__,ノ// ヽ.ノ  l
 ー‐\______/\|!  |__,ノ´  ̄三  \ レヽ\ \ `


「そして、彼女との出会いが僕の生活の指針を決めたようだった」
 「サークルにも所属せず、コンパにも出席しないまま、僕は小説を読みふけるようになる」

「このとき、僕にもっとも必要だったのは、彼女との接点だったからだ」

                    rーイ ̄¨ト、-┐
                 ,r::┘、」;;;;;;::j/:::::/入
            .  _i -、_>- --- <:::::┴i
                〈 -::./  ," ヽ `; .ヽ:::::イ 短編はどこか翳りがある内容だけど、
              _|::-./ :i ,l|  li  i,   i:::::〉 長編は総じて、ロマンティックなのも特徴的ね。
                 ┐::i  |Vlハk i|⌒ソ . i_イ  
                  九ハ_i ,=ミヽ 'ィ=ミ、ソ ハ ヽ、  もっとも、短編にもロマンは見え隠れするけど。
                /| ト、 " 、-, "/ /  ヽ. .)..
            ,--,~~、>~~'-、}   ( .(
                ⌒`,、::::{`!'::::::::::::::::.:.i    ) .)
                .ノ ノ ̄`^/^介`:.:.:.ト、  .( .(
                ( (    .`,-'-:.:.:.:.:.:.:ヽ  .) .)
           <二二}  /:.:.:.:.:.:.:.:.:..::.:.:i{二二}
               {二二> く:.::.::.::.:.::.::.::.:::.:_|二二>
                       `,へ::_:_::r-く'
                     |_ソ    `、ソ

12 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:12:21 ID:zgOhGsTM

       /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:、
      _ノ.;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;入
      (;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ノ;:;:,ヽ、
     `).:.:.:;:;;;;;. '"´     ̄`¨¨);:;:;`ヽ、_ _
      「.:;:;:;:;/         (;:;:;:;:;:;:;:;.;ト、;:;:;:〕
      (;:;:;:/              ``);:;:;:;.lヽl;:;:;:)、  それにしても、やらない夫。
      ):/  .:i .::l    .:.::::|.:.:.l::|:::::(;:;:;:;:;:ト、l;:;:;:;;) \ あなたの読書の趣味は、ずいぶん私と似てるのね。
      V:l.:i.:.i .:| .:l!  .:.:::l.:l.:.:::l_|.:.::::);:;:;:;ト、l;:;:;:〔 ノノ
       i.:l.:l.:.l .:l_;lト、. .:.::/l/ィイハV(;:;:;:;:;:;! l;:;:;:;:)ネヽ
      Nトト.:ト.::V仁V:/ ,.ィ云〒ミ.:::);:;:;/ /,;:「  i
         `>.:.ヾりソ  _f込ソノ /:ハ;:/__/.;:ハ:i i
          //i.:.i.   ,        /l リネ薔シ′.|:l |
         .// .l.:.ト、  r┐   ノ .l レ'′    |:l |
        l |  |.:| __>、 _,..イ::ヽ1 l.        |:l |
         | |  |::| :: {ffカ7 .:.:.:.::1 :ト、.      l:l |
         | |  |::| :: ´V/ ー-.:::ノノ:.:.:`ヽ   l:l |
       f辷彡ll::l ::  / ー-f辷彡.:.:::::::::ヽ  |:l |
       f辷彡 LL:_.:人.   _弍ニ彡:.::::::::::: ヽ |:l |
        辷-7./´`7〃 .:ト  辷-7.:.:::::::::::::::.ヽ |:l |

「だからこそ、彼女の何気ない言葉に、僕の心は激しく揺さぶられてしまうのだ。
 「それに、なによりも小説を愛する彼女のことだ」

「僕が彼女の趣味に合わせるように読書をしていると知ると、
  彼女は僕に幻滅しないだろうか、と不安になるときもあった」

                   /  ̄ ̄\
                _ノ  ヽ、_   \
               (⌒)(⌒ )    |  そうか?
               (__人___)     │  あんまり意識していなかっただろ。
                   '、'ーー´   'J |   ただ、薦められた作家が良かったからかもしれんな。
                |        |
                    ヽ 、     イ
                ィヽ-ー ≦ノ7
          _, 、- ― '´ヘ:::::::::::::::::::::::::ト、__
        /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... 、
       丿;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ、
       / ;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'、:::: !
       /;;;;;:::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
     / ;;;;;:::::::::::::: /;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::: |

「嘘でもないが、本音でもない言葉を吐くだけでも、僕は動揺してしまう」

13 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:13:29 ID:zgOhGsTM

「そんな、多くの楽しみに満ちて、ほんの少しの不安を孕んだ日々にも、小さな動きがあった。

 それが僕が提案した散歩だった。
    目的地を、読んだ小説のイメージが重なる場所にした、散歩。」

                      _/`丶、
                     _∠フ::.::.::::::}::\
                   厶::.::.::.::.::.::.:ハ::.::\
                  / ̄`::.::.::.::.::.:`ー'⌒Yハ
               _/::.:__, -─-……‐-、:L_:\
                   >´/ ,  '´       \}:ヽ`┐
             // / /          /了}ヽ\
            〃/ / , ′/  /   i    ヽ\ソ::.:j::::`个‐‥''^ヽ_
              /' / / /  /  /    '  |  i!ヽ::|::::::::l::.ー─-‐{ 海にいくの?
          / ' / l |i /  /   / / !  ||〈::ノ::::::/::.::.::.::、::.::.::.| えぇ、良いわ、行きましょう。
            /  i ′ll丁Tト、l|  / ,/ / / , ! |{八!:::::/::.::.::.::.::.:`辷′
            |l  |l |≠ミ、l| ,/__,/ / / /r=≠へ、::人_::.\::.::.::.::.:ノ
            |l  |l |{ {_j^l| / _、__`メ、/ }イ以f}ハ}::.::.::.::.::.::`ー‐Y
            | ヽi|〉!   l' ´了㍉、 >、ハ戈ィくソ::.::.::,小、::.::.:: ノ
              ,-、/ ハ  '     ゝィ斗/イ//又::.::.::イ〉| |ト, ̄´
          〈///ハ丶 _     〃厶イ__」_/7,ーイ/i||、ヽ
-、      ,.─、 イ:::// :;;ヘ ___rー─/ /--‐ "´' //| l// l|| l }
. ..:\   //\\:〃::::f抔ハ〉|::::::::/ , イ、:\   //ハl//_///_ノ/
.::.  \// ,.::  \\::::::ゞニ「 ̄`::/ /:/::::::`く // l  { {─| |ー'
 : ::.:// .::"      \\フ|:ハ:::::::/ /:〃:::::::::::::〉/ li  ヽ>|!
  //   /\  ::.. \\::::',::/ /://:::::_ -イ {.  |l     |_{
// ..: /   \ .::..  \\/ /::::{ {/::._::.', l  |l

             _     ______
            l i  /    \
            l l_./ _,ノ  ヽ、,_\  よし、じゃあ、今度の日曜日にしよう。
            l/ ニヽ( -) ( ●) .|  海風にでも吹かれて、のんびりしようじゃないか。
            l / y 「'i___人___)  |  
            l   <、.l         |   …「鳴鱗琴」の音も聞こえるかも知れないしな。
            ',    ',/       |
             j    ノ      ,/'|、
           _∠⌒ヽ j 'i, __ , __ ィ/::L___
         / ...::::::::::ヽVヽ::::::::::::::::::::::::::/:::..´''' 、、、 _
       / ...:::::::::::::::::::: 〉::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... i::..\
     / .:::::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::::::: l

14 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:15:22 ID:zgOhGsTM

「今回、散歩の目的にした鳴鱗琴は、小川洋子の短編に出てくる架空の楽器だ。
 活字から音が漏れてこない以上、その音色が僕たちの耳に入ることなんてない」

           / ̄ ̄\
         /   _,ノ ヽ、_ 
          |    ( ●) (●)  それにしても、海風が吹くときにしか聞こえない音色か。
.           |    (___人__)  いったい、どんな音なんだろうな。
           |     ` ⌒´ノ
            .|        |
            人、       |
        ,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ
  ,. -ーー -‐ ´::::::::::::::::::::::::::::::::7
/..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、
.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. \、_
::::::::::.\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ヽ
:::::::::::::..ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...ヘ
:::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::
:::::::::::::::::イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::
::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:|

「それでも、僕たちはその音色を、行動の理由にすることが出来た」

   '┐ _ :::>‐  ― ー - 、:::i:...:::i ::::: } ヽ
   _/ ..... /           ‐ヽ::::i:. :::r‐'| 「__,.;;ぇ、
  「__ /      /   ;      \::::| _∧  {゙ |:::|
  |  ./    /  /    i      i ヽ::__ノ::l イ.LL:|.
  } /  /  /  /     :l:  l    :l  | ::: |:::| T"゙T:::}
 「 /  /  /   i     :|:  :l   :l ::l l }.|:::|..:く /:::/ あら、それを知るために海に行くんじゃないの?
  イ.  l  :l i :i     :::|:  :| .l :|  :| 「 ] |:::| "ト^/  てっきりそうだと思っていたわ。
  .|:i | i ::l ::i ::i i     :::|  ::| :l ::|  :| .} |.l:::ト ∧:}    
. /:|:i | i L 」 _i__i i  : ::::i  ::| :: .l: :|  :l(: il::/{  |::|     そうだわ、どうせなら、夜明け前に行きましょう。
/:/|:i | iいハL|_リ`i::::::::/ナ ‐ト 、L _:i  :| .}/::/イ  |:::|        きっと朝日も綺麗だと思うわ。
:/ .| いいハ ィ行心ヽ/ レィ‐ ∠レ/` :///:/ /  |:::|
|  |  ト゚| i V辷ソ     ,ィ7ぅミxVイ/ レrヲL.|.  レ'
.  |  .| i | i    、     辷ソfノ "|. i レイ / |.  |
  |  レ i |. ヽ     、 __       ./| i |  | .|   |
  | //.| |_ /` 、 `´   _. rく ァi.ハ ', | .||   |
  レ /ィ| |::::::. ::::::..`_- .:::'´:::::::  ..メ/. ', V ||   |
 /,ハ l l::::::  :::rチ心ヽ:::::::::  :://: \; V |   |
"/  /./::::  :::::::い9ソソ::::::  :::://:::: ∧  ';|   |

「結局のところ、僕たちの行動の裏には小説があって、
 やはり、僕たちを強く繋ぎとめていたのは小説のようだと僕は思った」

15 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:16:28 ID:zgOhGsTM

「僕たちは、まだ陽が昇らない港町に来て、何をするでもなく歩き続けた。
 海風の音に耳を傾けたり、互いの足音に意識を向けながら、ゆっくりと」

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::「足元に気をつけるだろ」::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::.:.:_人_:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::.:..   |{⌒}|   ..:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::.:.:. .     |ト=イ|     . .:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::「えぇ、ありがとう」::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::.:.:..       `TT´       .:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.        | |        .:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        | |           .:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        | |               .:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        | |                  .:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        | |               .:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「そして、歩きつかれたら潮気で錆び付いてしまったベンチに座り、
 缶コーヒーを飲みながら、夜明けを待った」


   ) . .:./.:.::::/              \ \.:.::| |::::::人
.  ( . . .:.:.:::::::/       /        ヽ 入| |/ヽ `ヽ
   \.:.:.:.::::/    / ′  l      |  l 「:::| |:::::::ノ   !
      Y.:.:.′   ,′! l   |       |  }ノ..:.| |:::::ノ    |
.     ゝ┤   |  || l |    l   (. .:://.::∧    |
        l !|  _|_Lj、 l | _/|_/ l | )//.::/ l   |
        |八 l l l{\|`ヾト、l、/ ̄l/`刈Y北L.,′ |   |
        | ヽヽl ´==''     ==''^ } | ヒシ''′ |   |
.      '  l / ∧    '       イ|Y´    |   |
      | j l ||丶   ‐    イ`ヽl l      |   |
.     /|  {| ! | ヽ ` rz=.、´ ノ  / lト、   |   |
     //j/. :| ! |\ l、{{r勿}}〃  //| jj:::::\  |   |
.     /./. .:.::::|   {     `゙T゙´   // l|从::::::::::ヽ.!    |
 r‐=ニ´.:::ヽー=≧ト:.r‐⊂ニニニ⊃x/ /j/:::}::::::::::::::ヽ.  |
  \::::::::::::::ゝ---/´ ミ}厂厂厂厂jr―‐ヘ/.:::j:::\::::::\_j
   \::::::::::::::::::/  ア{ i/ i/ i/ i/jゞ、ヽ`ヽ\{:::::::::\::::::::`ヽ

16 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:17:29 ID:zgOhGsTM

「ただ、それだけの時間が楽しかったのだから、
 僕の生活はよほど充足していたということなのだろうと、今さらながら思う」

             / ̄ ̄\
           /   _,ノ `⌒
            |   .( ●)(●)
.             |    (___人__)
             |        ノ
              .|        |
              人、       |
          ,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ
    ,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
  /..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、
. { :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_
  '| ::::::::::::::::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ
  '| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
   ト、:::/ / ̄`` ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
   `,ヘ ´:::::::::::::::::. ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rー'、
    }:,∨ :::::::::::::::::: ト、:::::::::::::::::::::::::>< ̄\::..\
.    }:::∨::::::::::::::::、-''゙~ ̄ ̄ ̄ ̄:::::::::...\ ム:::::ヽ
     l::::∨ :::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.、/...:::::::::ヽ}
    {::::::\,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/" ̄:::::::::::::::::::::::::ノ

「同じように彼女も、そう思ってくれているように、と何度となく願ったものだ」

17 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:18:20 ID:zgOhGsTM

「やがて、缶コーヒーが半分になるころ、建造物の合間をぬって、朝日が昇っていくのが目に入った」

;;;;;,,,
 ""'''';;;,,,            '';;;;:;''              ,';;;:::;;'"         ,;
     '';;,,,           "';,'          ,,;::;:;'"          ,,,;;;'
                     ゙        ,,;;''"       ,,,,,;;;;;'''""
  ;;;;;;,,,,                  l            ,,,,,;;;;'''""
    ""'''';;,,,,           ヽ    l    '    ,,,,;;;''"        ___  _
           ""'';;;;,,,,,         /   '   ''''"       _   |::::::::::::| /:::::::::...
_                \丶               _|:::::|_|::::::::::::∨:::::::..
::::::ヽ           _      ,r'"⌒ヽ / ´__,,-''"":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
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「それを見送ると、彼女は大きな大きなあくびをした。
 あくびをするのと同時に、彼女の喉から可愛らしい声が漏れる」

  、... .... ...... .... ..... .... .. ... ,        , .. .. .. .. .. ... ...、. . . . .、_
  _)::::.::::.:::.::::.::::.::::.::::.::./ /     /:::.::.:::.::.::.:::.:::.::.:::.ヽ、: : : `
.  |::::.::::.:::::::.:::::.::.:::.::::/  /      、'、::.::.:::.:::.:::.::::.:::.::::.::::.`、: : :
  廴::::.:::.::.:::::.::.:::/   /         i `‐-‐、::.::.::.::.::::.::.::.::.:.', : : :
.   _)::::.:::::.::::::/     i     i   |     〉:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::!: : :
   L_::::::.:::::.::/     |   ,' |   |    {::.::::::.::::.:::.:::::.:::::} : : :
      ̄l:::::::i    l |    i  |   !   ,ィト、:::::::::::::::::::::::::::|: : :
      \_| i     l | __i _」 l|  ノ_,ィ´/ ! メ -‐'j:::::::::::::::j,ェ、  ふぁ…っ…
          | |    lX´ i\l  レ'  ´ 'r===ュ  (::::::::::::::::ハ{{
          | |i     i ≠ ̄`               ト、::::::::::代`
         | l|   :l      '_            |l| 〈::::}: : :
.        ヽ!ヽ、 :l|     _/ ト、_         ! ハ  〉,': : :
.            \|l   // / |、\         l i | |: : : :
                ::lゝノ / / / ! l       // | |: : : :
             y'/  ´ ´ / / ,'      .// ./| |: ;/
            //         /- ´      .///_.| |_:::::::
            lノ       ,'_  _ ,.  ィ//: ̄ : | |:|-;:::
       _____{!       l,>― _ l´://: : : : ::| |:|. L
     ∠_     |          l: : : : :メ!、//: : : : : :.| |:|::::::ヽ
    /    \  l         l: : : ム杯f//: : : : : : / /: :\:::

18 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:19:23 ID:zgOhGsTM

「その漏れた声が、あまりに可愛いものだから、
 僕は思わず笑ってしまったのだ」

                  / ̄ ̄\
                /  __,ノ `⌒
                |    ( ⌒) (⌒)
                .|     (___人__)  …ははっ
                |     ` ⌒´ノ.
                |        |
       ,. --、― --ー y:ヽ      丿
      / ::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::..\ __ _ r.〉
     / :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... _ ィ\
    //:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ヽ
   ノ ..::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 丶
  / ...::::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. `,
 / ..:::::: -、::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... `,
 i :::::::::::.. -‐-、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r/ノ::.. `、
 ヽ::::::::::::::::::::.. \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: j::::::::::::::::.. ヽ
  \::::::::::::::::::::::.. 、::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /ヽ:::::::::::::::::::.. ・、
    \:::::::::::::::::::::.. \:::::::::::::::::::::::::::: /   ヽ::::::::::::::::::::::::.. 、


 廴::::.:::.::.:::::.::.:::/   /           i `‐-‐、::.::.::.::.::::.::.::.::.:.', : : :
.   _)::::.:::::.::::::/     i     i    |     〉:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::!: : :
   L_::::::.:::::.::/     |   ,' |     |    {::.::::::.::::.:::.:::::.:::::} : : :
      ̄l:::::::i    l |    i  |     !   ,ィト、:::::::::::::::::::::::::::|: : :
      \_| i     l |  i | l|    ノ_,ィ´/ ! メ -‐'j:::::::::::::::j,ェ、
        | |    l |  | ! l|  ィチ´//_,」_/_  (::::::::::::::::ハ{{
        | |i     i i _」 ト、|| /   ,ィZr'チ卞、`7 ト、::::::::::代` あら、何か可笑しなことがあった?
         | l|    X´i l\l  レ'  /l {つk_j::::}/ | ト‐-,:::|:.`:
        ヽ!ヽ、 ト、 ,rz=、        弋:::::::シ'´ |l| 〈::::}: : :
         `  \| kイ、Vム         ゚̄    ! ハ  〉,': : :
              ハ `弋ノ          O   l i | |: : : :
              | 。   ヽ    _ _    o  // | |: : : :
              | `、    ィ_´-‐ツ      // /| |: ;/
              }  ト、    ` ´      ///__| |_:::::::
              / /| | ` .、        , ィ'//: ̄ : | |:|-;:::
             / / .| |    _,>ー _ l´: :.//: : : : :.| |:|. L

「彼女は、僕がなぜ笑ったのかも分からずに、その目に溜めた涙を零していた」

19 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:22:19 ID:zgOhGsTM

「こんなとき、僕はやはり思ってしまうのだ。
 恋人になれなくても別に構わない、と」

             / ̄ ̄\
            /   _,.ノ  ヽ、_
            |    ( ⌒) (⌒)  いや、なに、「鳴鱗琴」の音色がどんなのか分かった気がしただけだろ。
           |    (___人__)
            .|         ノ__
            |     _/  ̄\ヽ
               人、   '、/  ̄ ヽ '、
            _,/(:::::ヽ、  __'-r´ ̄ヽ  v
   _, 、 -― ''"::::::::::\ :::::::::::::::j_√    |
  /.:::::::゙:':、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ    r、
 丿::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞニニ彡〉,
. i ::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::( :::::::::::::::::∧^
/.::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::::::::::∧i
::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::∧ ::::::::::::::::∧|
:::::::::::::::::::::::丿::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::::::::::::v
:::::::::::::::::::::イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ ::::::::::::::::::ノ

「それは、一種の逃げなのかも知れない。
 けれども、僕はこれこそが僕たちのあるべき姿のように感じられたのだ」

                /::ヽ__/::::::::::::ヽ\
             /:::::::\::::ヽ::::::::::::::::::\\_
               /::::::::::::::::ヽ::::::`::::::::::::::::::ヽ: ::\
           /:ヽ::::::::::::::::::::>z、:::::_:x==斗: \z、______
              ヽ::::\:::::::::::::::::,."´     イ\: :V∧: : : : ヽィ::ヘ
              }::::::::::>:::/         ヾ: : : : V∧ : : : : : : : : !
           {¨:::::::::::::: :/         ヽ   >、;;: V∧: : : : : : イ
            廴_:::::::::::/  i!   ト、    i人 イ: : : : }iiiii} : : : : : | |、  へぇ、詳しく聞かせて欲しいわね。
              ノ: : /   :|    iハ   :ハイ テ: : : /人i}:!: : : :::| |k\
            /::::::イ  i  :|    |.ハ  / ! / j / | ̄{ .Y ̄Y.| |:ミハ
            \::::{   |  |,    :|川 / レ' !/ ハ .|ト イ   .|.| | ハヾ;;、
.                ヾト  ヽ ヽ   |.ノ !/  ィヤたかト .||:イ   |.| | ハ ヾ;;、
.                | \ ト {ゝ_从.     弋 ぅツ| ! ||彡  ,.任i!    V/シ
                 |   ヽ八 fヤ゚心       、、、 | ! || }レィ /.| |   ト"
               Vハ   ∧乂ツ         .| ! ||// /.|.| |.    |
               ヽハ    ハ 、、、 ,      | ! ||イ.:/ |.| |.    |
                 i!  iハ人     _ ノ .| ! ||三ミメ、|.| ト,   .|
.                 小  |∧  ≧=  .. __ イ|. ! || : : ハ|.|,ハ!.  .|
                 /i!   | ',  ,.イ::}{::::::::::::! i i!!:::::::::::Vヽハ.   |
.                / /!   |  ム-、:::::::人:::::::,ィ' ` .ノ77;;;;;;;;;;;;;i:::: ヽ

20 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:23:06 ID:zgOhGsTM

「まったくもって情けないと自分でも思う。
 きっと今に、この時間が終わることが嫌になるに決まっている」

            / ̄ ̄\
          /    _,.ノ ⌒
          |    ( ー)(ー)   俺が思うにだね…「鳴鱗琴」の音は…
          .|    (___人__)
           |         ノ
           |        |_,-‐、_ -、
          .人、      厂丶,丶 v 〉
        _,/::::ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ    __ノ
 _, 、 -― ''"...:::::::::\::::::::::::::::::::(    〔"ニ‐-、
/.::::::: ':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r  /⌒ヽ:::::: )
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',::::|
:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::... ',::i
:::::::::::::::!::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::::. ',

「そうなると、離れ離れになったあと、彼女の隣に立つ人に、
 僕は必ずや嫉妬してしまうだろう」

             / ̄ ̄\
          /   ⌒ ´ ⌒
.         |    ( ●) (●)
          |     (___人__)   海のあくび、みたいな音じゃないかって思うんだ。
          .|        ノ    大きく息を吐いたあと、これまた大きく空気を吸い込むような。
           j        |
         ..ノヽ、    , ノ       _
  ,. ー、一一´:::::::::::::≧ーー"7          i' Y
. / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、       i l _
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、   | lフ ト、
.::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ  i/ ,.イ 丿
:::::::::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l /  i'r ´,.ィ
:::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j  丿r´,.ィ
:::::)::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八   `チ

21 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:23:49 ID:zgOhGsTM

「僕はきっとそういう人間だ。
 自分が彼女の隣に居られないことは許せても、別の誰かが隣に居ることは許せないのだ」

             / ̄ ̄\
           /   _,ノ `⌒
            |   .( ⌒)(⌒) いつまでもゆっくりと身体を揺らしている海が、
.             |    (___人__)  ほんの少し気を緩めてあくびをしたような音色で、
             |        ノ   「鳴鱗琴」は優しく鳴るんじゃないかな。
              .|        |
              人、       |
          ,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ
    ,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
  /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: メ、
  { :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_
  | ::::::::::::::::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ
  '| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
   ト、:::/ / ̄`` ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
   `,ヘ ´:::::::::::::::::. ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rー'、
    }:,∨ :::::::::::::::::: ト、:::::::::::::::::::::::::>< ̄\::..\
.    }:::∨::::::::::::::::、-''゙~ ̄ ̄ ̄ ̄:::::::::...\ ム:::::ヽ
     l::::∨ :::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.、/...:::::::::ヽ}
    {::::::\,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/" ̄:::::::::::::::::::::::::ノ


   ) . .:./.:.::::/              \ \.:.::| |::::::人
.  ( . . .:.:.:::::::/       /        ヽ 入| |/ヽ `ヽ
   \.:.:.:.::::/    / ′  l      |  l 「:::| |:::::::ノ   !
      Y.:.:.′   ,′! l   |       |  }ノ..:.| |:::::ノ    |
.     ゝ┤   |  || l |    l   (. .:://.::∧    |  なるほど、ロマンティックで面白い解釈だと思うわ。
        l !|  _|_Lj、 l | _/|_/ l | )//.::/ l   |  でも、それであなたがなぜ笑ったかも分かったのだけど。
        |八 l l l{\|`ヾト、l、/ ̄l/`刈Y北L.,′ |   |
        | ヽヽl ´==''     ==''^ } | ヒシ''′ |   |
.      '  l / ∧    '       イ|Y´    |   |
      | j l ||丶   ‐    イ`ヽl l      |   |
.     /|  {| ! | ヽ ` rz=.、´ ノ  / lト、   |   |
     //j/. :| ! |\ l、{{r勿}}〃  //| jj:::::\  |   |
.     /./. .:.::::|   {     `゙T゙´   // l|从::::::::::ヽ.!    |
 r‐=ニ´.:::ヽー=≧ト:.r‐⊂ニニニ⊃x/ /j/:::}::::::::::::::ヽ.  |
  \::::::::::::::ゝ---/´ ミ}厂厂厂厂jr―‐ヘ/.:::j:::\::::::\_j
   \::::::::::::::::::/  ア{ i/ i/ i/ i/jゞ、ヽ`ヽ\{:::::::::\::::::::`ヽ

「それでも、今の僕はまだ、彼女の隣は僕が相応しい、とまで思えない。
 本当に、はた迷惑な感情だ」

22 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:24:52 ID:zgOhGsTM

     [_:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::7     ′   '       '.       i匚、:.:.ヘi:i:ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.ハ `ヽ  ,/.//
     Lz:.:.:.:.:.:.::::::/    ′ 〃      :.         マ:.:.:ヘi:i:ヘ:.:.:.:.:.:.:.:リミ=彡//
       んく.:.:.:::::/     {   l|         !      | |:.:.:.:.ヤi:iヘ:.:.:.:.匚ヾ\=イ
      し.:.:.:.::::/ ′     i   l|         ! .   i   | {_:.:.ヤi:iハ:.:.:.:.:.: Yハ:i:ヽ ! つまり、あなたは私の
       /:/7::::′      |   l| |       | |   |   |   /:.:.:.}:i:i:i|:.:.:.:.:.:.:} |:i:i:| l  あくびを見て笑ってたわけね。
.       /:/ ハ’ |  |    |   l| |       | |   |   |__ [_:.:.:.:|:i:i:i|:.:.:.z‐'! .|:i:i:|. |
      l:/  ′| |  |    |   l| |       | |   |.イ「.|  _」:.:.:.!:i:i:i|:.:.(:i:i:|、 !:i:i:|  i
      l! /   ! !  !  | |   l| |       | l/ |  .ノ! ム:.:.:.:.:.!:i:i:i:!:.:.:.:}:i:|ハ ヾ:i:!  |
.      〃  ∧ l  l!  丁`ト、l| |        l,厶ニ孑灼フ / Y:./:i:i:i/:.:√|:i:| ! ヾ   !
      |′ i ∧ 、 l|   |_V{__」ト     ー'ノハ '(代ノり〃!|: 7テ=ヘz/ .|:i:| |    l
      |   .l:iヘ、ヘ八  |l(''て「k込 \l/!/   __ヾニイ::   l! {' 辷リ/  ヾ} :.     |
      |     !:i:i:|ヾ丶\l    ヾ汐            ,,  .::;' lハx」ノ     .i    |
      |     l∧! lNⅥl∧   `"´   ,         .::::ハ.  l| ',        .!     |
      |     | ′  l:.八 '"             .イ i  ! ハ..      |    |
      |     |/   /リ  ゝ      ‐-(    x≦三ミ/ ∧  :.     !     |
      |      ./   //  x≦> .     _ '´三三il7 /ミ|   i      |    |
      |     /   〃i≦三三三三i≧=-イ三三三三/ /三.!   |      |    |
      |    ./    /三三三三三≦〈 f穀マil三三三i!/ /i三 |  |      |    |
      |   イ    ∧三三三三三三 ミ辷彡 三三三/ /三三|  |      |    |

「とはいえ、なにも今すぐ関係をどうこうする必要はないのだ」

                  / ̄ ̄\
                /  __,ノ `⌒
                |    ( ⌒) (⌒)
                .|     (___人__)
                |     ` ⌒´ノ.  ははっ…すまんすまん。
                |        |
       ,. --、― --ー y:ヽ      丿
      / ::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::..\ __ _ r.〉
     / :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... _ ィ\
    //:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ヽ
   ノ ..::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 丶
  / ...::::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. `,
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 i :::::::::::.. -‐-、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r/ノ::.. `、
 ヽ::::::::::::::::::::.. \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: j::::::::::::::::.. ヽ
  \::::::::::::::::::::::.. 、::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /ヽ:::::::::::::::::::.. ・、
    \:::::::::::::::::::::.. \:::::::::::::::::::::::::::: /   ヽ::::::::::::::::::::::::.. 、

23 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:26:08 ID:zgOhGsTM

「いつまで続くかも分からない生活に、
   最大限の愛をもって接していきたい」

                      ___
                    /:::::::::::::::::ヽ         ____
                  / :::::::::./ ̄ ̄ \____ ,. --ー.....:::::::::::::::::::.. \
                 / :::::::::: ⌒´ ヽ、,_  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
                    | :::::::::::(⌒).(⌒ )    |::::::::::::::::::γ:::::::::::::::::::: ノ  もしかして…怒った?
                     | :::::::::::(__人___)     .|:::::::,. -ーy:::::::::::::::::::: /
                      | :::::::::::/::'、           | ̄   _/::::::::::::::::::::: /
                 | :::::::/::::: |        |   /):::::::::::::::::::::: /
                  | :::::::::::::/|       /レ-,.イ:::::/:::::::::::::::::: /
                 i ::::::::::::::::. ヽ__、____,. "//::ノ.:::::/:::::::::::::::: j
                   r/:::::::::::::::::「二二二 ::::::::::/::::::::ノ::: 、:::: //
                /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::r

「それが僕なりの、この生活に対する姿勢だった」

\\t/ /     |      | |    |  |  l     |  |
  ヘ/ /  / /  i !     l |  |   l ∥ l    |  |
  / /  /  i   | l      l ll  |  ∥ ! l l    .l  |
 i /  l  l   | ll l    | l | l  || | ! .ll   l  |  l  いえ、ただ不公平だと思ったのよ。
. i |  l|  !   | |.| .|    ! ! l .| 厶-オ丁゙ l l l  へ| .| |  私だけ「あなたの鳴鱗琴」の音色を聞いていないもの。
|.|l /.|  | i  l .| l l  / |/ イ/ 斗l=ト、 レノ l/― ヽ ,i
.\l| / |   l |l l l  .| l /    イフUf゙゙l  l /| レ .| /
  | |  l  l .l.|iH廾─+ l/      ゞ―"~// .|  l/ノ/
  |.|   l  l!| !! Zfテミ              /./  j  i ´
  ソ   ll\l l ! ! ゞヒユ            / /  / l .|
  |  / | | / .ハ  ̄   ヽ   _.   / /  /、l  |
  /  / レ  / / ヽ    ー     //  / /l  l
 /  /   / /   ヽ、      // / / l  ハ
./  /   //i__. _r‐‐/` ー .、__ レく_ ‐´   l  /  ' ,
 /  //,イ | \_,r'"       |l"     / /     ',

24 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:26:48 ID:zgOhGsTM

「彼女はとても、知的で、クールで、それから美人だ」

            / ̄ ̄\
          __ノ ヽ、,_  \
          (●)(● )    |
          (__人___)    | …えっ?
              |` ⌒´   u. |
           |        |
           ヽ      .イ
          __「ヽー'ーー"/7_
    _, 、 -― ''":::\::: ̄ ̄:::::/::::::ヽ、
   /;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'ー、
  丿;;;:::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
  i ;;;;;:::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'、:::: !
 /;;;;;::::::::::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
 l ;;;;;::::::::::::::::::|;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::: |

「そして、どこか子供っぽくて、好奇心旺盛で、可愛らしい」

  廴::::.:::.::.:::::.::.:::/   /           i `‐-‐、::.::.::.::.::::.::.::.::.:.', : : :
.   _)::::.:::::.::::::/     i     i    |     〉:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::!: : :
   L_::::::.:::::.::/     |   ,' |     |    {::.::::::.::::.:::.:::::.:::::} : : :
      ̄l:::::::i    l |    i  |     !   ,ィト、:::::::::::::::::::::::::::|: : :
      \_| i     l |  i | l|    ノ_,ィ´/ !メ -‐'j:::::::::::::::j,ェ、
        | |    l |  | ! l|  ィチ´//_,」_/_ (::::::::::::::::ハ{{  次は、やらない夫があくびをしなさい。
        | |i     i i _」 ト、|| /    ,_,.斗t  ト、::::::::::代`   私がちゃあんと見て、聞いてあげるわ。
         | l|    X´i l\l  レ'   .ィf´| f心V .| ト‐-,:::|:.`:
        ヽ!ヽ、 ト、            弋 マソリ  | l| 〈::::}: : :
         `  \| k rf圷、       `¨´   ! ハ  〉,': : :
              ハ圦rvハ            l i | |: : : :
              |  ヽン          // | |: : : :
              | `、    ,           // /| |: ;/
              }  ト、       __,.イ  .///__| |_:::::::
              / /| | ` .、     ´  , ィ'/: ̄ : | |:|-;:::
                / / .| |    _,>ー _ l´://:: : : : :.| |:|. L

25 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:27:40 ID:zgOhGsTM

「世間では、惚れた方の負けだというが、それはまさにその通りだと思う。
 どれだけ強がっても、きっと好きな人には敵わないのだ」

             / ̄ ̄\
            /   _,.ノ  ヽ、_
            |    ( ○) (○)  え、意図的にあくびを出すなんて無理だろ。
           | U  (___人__)
            .|     ` ⌒´ノ__
            |     _/  ̄\ヽ
               人、   '、/  ̄ ヽ '、
            _,/(:::::ヽ、  __'-r´ ̄ヽ  v
   _, 、 -― ''"::::::::::\ :::::::::::::::j_γ    |
  /;;;;;;::゙:':、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ    r、
 丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞニニ彡〉,
. i ;;;;;;;;;;;;;;;;::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::( :::::::::::::::::∧^
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::::::::::∧i
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;;;:::::::::\::::::::::::::::::::::::::::∧ ::::::::::::::::∧|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;丿;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::::::::::::v
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ ::::::::::::::::::ノ

 廴::::.:::.::.:::::.::.:::/   /          `‐-‐、::.::.::.::.::::.:', : : :
  _):::::.:::::.::::::/     i     i    |   〉:::.:::.:::.:::.::!: : :
  L_::::::.:::::.::/     |   ,' |     |  {::.::::::.::::.:::::.} : : :
     ̄l:::::::i    l |    i  |     !  ト、:::::::::::::::::|: : :  あら、だからといって自分ひとりで楽しむなんて、
     \_| i     l__|  i | l|  |⌒ゝ/ ' -:::::::::::::j,ェ、   どうかしてると思うわ。
       | |   ´l | | ! l   |''  //(::::::::::::::::ハ{{
       | |i     i i _」 ト、|| /,ィfう「゚圷 ト、::::::::::代`
       |l|    .ィfヤ心l  レ'   .弋ぅツ .| ト‐-,:::|:.`:
        ヽ!ヽ、 ト、乂ぅツ     ´,,,,    | 〈::::}: : :
         `  \| k' ,,,,, 、         //.| 〉,': : :
                  ヘ    、‐ ァ     // | |: ;/
             |人    `      // __| |_:::::::
             |  |:.:.:>_、 __ , ィ' //: ̄ ::| |:|-;:::
             / / lヘf{ハ l´: : ://: : : : : | |:|. L

26 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:28:21 ID:zgOhGsTM

「僕たちはいつまで一緒に居られるのか、本当に分からなかった」

                     , ´  ̄ ̄ ` 、
                    /        ヽ
                      /    _,ノ_ `ヽ-、
                  /   (√丶丶´v 〉  あぁ…わかった…なら、
                   ノ U   { )     j   あくびが出そうになったら、真紅に言うだろ。
                ,.イ 、    V     /
              ,/(:::ヽ.ヽ   {     r
      _, 、 -― ''":::::::::::::\::::ヽヽ., __r  /⌒ヽニ‐-、
     /::::::::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ '.,:::::
    丿::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::( :::::::::::::::... '.,::: |
   r ::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::.. '.,::i
  / ::::::::::::::::::::::: !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::::. '.,
  / ::::::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::::::. '.,

        {:::.:::.:::>.::´ ̄ヽ、 ,. -一 ヽ_
    ,. -┘.:::.:/:.:::.:::.:::.:::ノ::.Y:;___.:.:./.:.:.:.:.ヽ
   (.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:;:、;:;∠二:.ヽ`ヽ.:.:.:.:.:.:.:∟、
    ):.:::.:::.:::.:::.:::.; '´ //〈.:.:.:.:\ \.:.:.:.:.:.:.::ヽ-へ
  r''".:::.:::.:::.:::.:::/ / / / ハ `ー‐┐\ ヽ:.:.:.:.:.:.:ノ=ニ):\
  { ::.:::.:::.:::.:::.; ′  /      |   {_:.:.:.ヽ ヽ:.:.:.(二`V/^):、
    ̄つ.:::.::/   / ,′    |    |  ̄ヽハ. i.:.:.:.:.`i!ヽ.!_/:./ ええ、期待して待っているわ。
   (:.:::.:::.::!l!  l  i      |l!   |  ノ:.:.| |:.:.:.:.:.:||:.ト、;:ノ
    `7:.::|l|  | ハ      ;'|     し-、| |:.:..:_ノ.|.:| |   …じゃあ、そろそろ始発もあるでしょうし、
      ヽ|H  | | l__,    / |  /  / ノ|/:.:ん. l |:.| |    行きましょうか。
       |l!ヽ. 代「 ヽ.  , / `ト、/! ,イ. く:.:/:.; -┘| L」 !
        |  l N.--ミ ヽ/ソ _レ'´ lメ // |/  | |   |
        |  ! |l,ィ^h.、    ´ ̄ ヽ 1  |     | |   |
       | !( { { | | ' _, """ ノ!|   |    | |   |
      !.| |_\  ヽ、    _,. <._| !  |ヽ.   | |   |
         !/〈.:.:.Y_>、 }、 ̄´;:;:;:;:;:;://|  |:.:.::',  l l   |
       ム-レく.:.:.:_}ノ:@;:ニ、;:;:;//;:;! 、|:.:.:.:.:L_ ! !  |
     _,.∠=ニ〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ニ  V;〈〈_;/| ヽ:.:.:.:.:.:L_l !  |
    `ーニ二_‐ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:(゙こ  /'^ヘ V:.:\ \:.:.:.:.:{! |   !
     <:.:.:. ̄} .:.:.:.:.:.:.:`} ノ:.:..:.ハ V:.:_>- ヽ.:.:.:.} |   i
      |_>'7.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:Y.:.:.:.:.:.:.:.::.:>'"  /:.:r‐'´〉、  i

27 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:29:29 ID:zgOhGsTM

「それでも。僕はきっと、これからも彼女に負けてしまうのだろう」

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:::::: :: :                       __,,.-" ..::⌒ヽ^~>     : :: :::::::
                            ⌒ ~^―~⌒ _      _
   _へ"⌒‐-、_ .__ __ _                         |  L___」  |
   ̄⌒^^^^ ~^⌒' |lliiiiiiiiiiiiill|  _ -"⌒ヽ.._            | i========il |
            |lliiiil⌒liiill|   ^ー- ''^   __      | i========il |
            |lliiii|≡|iiill|         l77|||||ll::l       | i========il |
           zL|lliiii|≡|iiill|         |//||||l::::l       | i========il |
          |T:|lliiii|≡|iiill|         |//|||li::: |___     | |}]―━―[ll| |
  ―┐ ィェェェェェェT:|lliiii|≡|iiill|_        ┌‐|//||li::::::|◯l―┐| |≡≡≡≡|| |
 「「「「「「「「l|ヨヨヨ|T:|l]]]]]]]]]]l甲|―┐ -- : |.._」//!il:::::::|\\|iiiill|同TTTTT -コ「
 「「「「「「「「l|ヨヨヨ|T:||三三三{⌒h≡≡≡―|EEEEEE三三三三三三lココココココココ
 ”.',.'〟”.',.'〟”,.',.'〟”.',.'〟”,.',.'〟”.',.'〟”,.'〟”.',.'〟”,.'〟”.',.'〟”,.'〟”.',.'〟”,.'
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  ~~ ~~ ^~ ~~  ~ ~~  ~~~~ ~     /         ...........::::::::::

 「だが、負け続けるのも悪いことじゃないのかも知れない」

28 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:30:11 ID:zgOhGsTM

「僕たちは明るくなった港町を抜けて、電車に乗り込んだ」

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   l :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::へ──────────-- 、._// ̄ /
    ト、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/./    /
    j :::::::..∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://                 /./    /
   i :::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://                 /./    /
  ,イ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://                 /./    /.
  l :::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::://                 /./    /
  | :::::::::::::::j :::::::::::::::::::::::::::::://                 /./    / j
  l| ::::::::::::::l :::::::::::::::::::::::::::://              ( ̄ ̄ ̄ヽ  /:::: i
  ノ .::::::::::::::::l :::::::::::::::::::::::://             r―- ニ二ヽ  \ ::::::: i
 / .:::::::::::::::::::l :::::::::::::::::::://             ヽ ‐- 、_ \,  丿::::::: i

「そして、どちらともなく本を広げ、物語を読み進めていく」

29 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:31:18 ID:zgOhGsTM

「特急電車の通過待ちで電車が止まったので、本から目を離し、
 大きく伸びをすると、彼女が僕を見て笑っていることに気づいた」

                     ___
                /::ヽ__/::::::::::::ヽ\
             /:::::::\::::ヽ::::::::::::::::::\\_
               /::::::::::::::::ヽ::::::`::::::::::::::::::ヽ: ::\
           /:ヽ::::::::::::::::::::>z、:::::_:x==斗: \z、______
              ヽ::::\:::::::::::::::::,."´     イ\: :V∧: : : : ヽィ::ヘ
              }::::::::::>:::/         ヾ: : : : V∧ : : : : : : : : !
           {¨:::::::::::::: :/         ヽ   >、;;: V∧: : : : : : イ
            廴_:::::::::::/  i!   ト、    i人 イ: : : : }iiiii} : : : : : | |、 
              ノ: : /   :|    iハ   :ハイ テ: : : /人i}:!: : : :::| |k\
            /::::::イ  i  :|    |.ハ  / ! / j / | ̄{ .Y ̄Y.| |:ミハ
            \::::{   |  |,    :|川 / レ' !/ ハ .|ト イ   .|.| | ハヾ;;、
.                ヾト  ヽ ヽ   |.ノ !/  ィヤたかト .||:イ   |.| | ハ ヾ;;、
.                | \ ト {ゝ_从.     弋 ぅツ| ! ||彡  ,.任i!    V/シ
                 |   ヽ八 fヤ゚心       、、、 | ! || }レィ /.| |   ト"
               Vハ   ∧乂ツ         .| ! ||// /.|.| |.    |
               ヽハ    ハ 、、、 ,      | ! ||イ.:/ |.| |.    |
                 i!  iハ人     _ ノ .| ! ||三ミメ、|.| ト,   .|
.                 小  |∧  ≧=  .. __ イ|. ! || : : ハ|.|,ハ!.  .|
                 /i!   | ',  ,.イ::}{::::::::::::! i i!!:::::::::::Vヽハ.   |
.                / /!   |  ム-、:::::::人:::::::,ィ' ` .ノ77;;;;;;;;;;;;;i:::: ヽ

30 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:31:54 ID:zgOhGsTM

「もしかして、と思いながら自分の目に手をやる」

                  , -‐、   , -.、
                /   ノ  ノ   ノ
               / 、_.ノ ./ 、_.ノ´
                 /  ノ /   .ノ  ,,-‐'⌒i
     .           / __ノ / /⌒ii´ /、_  .ノ´.   あ…これは……
               l. ゜ `iノ /   .|/  ,.'~´  .
                |   ,,,|./    丿 、_ノ ,-‐'´⌒)
     .         l.    |``''' /  .ノ ./ 丶,-‐'´
             |  ,___l    |、. / / 、,,/
     .         |   ノ     | `` '´-、 ,ノ
              | _/    |       )
                 | /     ヽ     |
              | .      ヽ::::.` 、,|
                 | :.       |::::  |
                   | ::       |::::  |.
               λ:::      ノ:: 丿
               /      , ::::::'/
               /      :/:::::::::/
             ,/      ::/:::::::::/

「どうやら無意識のうちにあくびをしてしまったのだろう
 手には小さな涙の粒がついていた」

31 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:32:32 ID:zgOhGsTM

「彼女はいたずらっ子そのものの表情で、僕に詰め寄ってくる」
   「まるで、絶好のおもちゃを見つけたような、そんな笑顔で」

                     ___
                /::ヽ__/::::::::::::ヽ\
             /:::::::\::::ヽ::::::::::::::::::\\_
               /::::::::::::::::ヽ::::::`::::::::::::::::::ヽ: ::\
           /:ヽ::::::::::::::::::::>z、:::::_:x==斗: \z、______
              ヽ::::\:::::::::::::::::,."´     イ\: :V∧: : : : ヽィ::ヘ
              }::::::::::>:::/         ヾ: : : : V∧ : : : : : : : : !
           {¨:::::::::::::: :/         ヽ   >、;;: V∧: : : : : : イ
            廴_:::::::::::/  i!   ト、    i人 イ: : : : }iiiii} : : : : : | |、
              ノ: : /   :|    iハ   :ハイ テ: : : /人i}:!: : : :::| |k\  あら、口約無視ね。
            /::::::イ  i  :|    |ハ  / ! --j / | ̄{ .Y ̄Y.| |:ミハ  まぁ、くじらの叫び声のような音色が
            \::::{   |  |,    :|川 /,ィレ'_ _,jハ |ト イ  .|.| | ハヾ;;、  聞こえたから良しとするわ。
.                ヾト  ヽ ヽ   |.ノ !/´爪「;;うiヽ| ! ||:イ   .|.| | ハ ヾ;;、
.                | \ ト {ゝ_从     V:ヅ'’| ! ||彡  ,.任i!   V/シ
                 |   ヽ八 .{:心      〃 .| ! || }レィ /.| |   ト"
               Vハ   ∧Vツ          | ! ||// /.|.| |.    |
               ヽハ    ハ〃 ′   ノうi .| ! ||イ.:/ |.| |.    |
                 i!  iハ人.   < ´ノ  | ! ||三ミメ、|.| ト,   .|
.                 小  |∧  ≧=  .. __ イ| ! || : : ハ|.|,ハ!.  .|
                 /i!   | ',  ,.イ::}{::::::::::::! i i!!::::::::::::Vヽハ.   |
.                / /!   |  廴{:::::::::人::::::,ィ' ` .ノ77;;;;;;;;;;;;;i:::::: ヽ.|

32 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:33:09 ID:zgOhGsTM

「僕は近くにいすぎる彼女に戸惑い、
 あまりのバツの悪さに目を背けた」

            / ̄ ̄\
            _ノ ヽ、_   \
           (= )(= )  |
          (__人__)  U  |    「ねぇ、やらない夫」
            l` ⌒´    |
.             {     U   |
             {       /
       _. -: ´∧ _,__  _.へ` 、
      r<....::::::::::ゞ::::::::::::r'    \ :\_
    /.::::::l:::::::::::::::::::::::::::::L>、    >ヘ::ヽ
    | :::::::ト、::::::::::「|:::::::::::::::::::`ー/:::::::::V::|
    〈:::::::::::::::::::/へ、:::::::::::::::::∧::::::::::::::V }
    /::::::_ン´「 ヽ`ヽノ:::::::::::::::::::Λ::::::::::::::ヘ}

「だが、そんな僕の態度は、彼女の一言ですぐに変わってしまう」

33 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:34:06 ID:zgOhGsTM


    つ:::::::::::::::::rー-'三三_ -―――‐-- 、)::::::::\  _
   (:::::::::::::::::::::::) 三= '´/       、  (_:::::::::::::丶<::::::`ー、
    `ー,:::::::: __ノ /  / /    \  \ ム::::::::::: |企;:::::::::::}___
     (_:::::: ヽ/   / /      ヽ  、ヽ(__:::::::::::|三|:::::::::::⌒Yヽ
     r’:::: /      {    |!  | |!  |!ハノ :::::::::|三|:::::::::::::::乂{
     `ァ: :′ /  / !     |!  |! |!  |! |`ー, : :::|三|:::::::::::::::} '.
      ヽ.′ /  /  |!      |!  |! |!  }! | Y:::::::::|三|:::::::::::::/  {  次は、何を読んで、
.      | | |!  |!   |!     i}  } |!  /_!_| ゝァ : :|三|::::::::_;ノ|   '.    どこに行くの?
.       | | |!|  |!、 {! |!   // /}//孑' /イ (_ : :r'--{:::::::) |   |
.       { | | { 卞ト、ハ!_  //ノノィ≦ケテ| (:::::〈ん)、) 〉´ |   |
       ヽト、 {ヘ、从ィ升=ミノ´   /弋じ:::}| 〉 : ゝニン   |  |
         ヽ乂ヘ!ゞ、rゝ':{`      `ー'゙ .|  ∨//    |    !
          }  |ヘ `ー'゙  、          |   {ノ´     |    |
          川 | 丶     マフ      ノ  } !        |    |
          //}  ! _≧-..、   ,∠⌒<}/ 八ヘ      |    |
           // j /':.:.:.:.  .:.:.:/>=(:.:.:.:.:.:.  / />ヽヽ     |    |





「――なんて、嬉しい言葉だろう」

                         _______
                       /    \,-、__
                     /_,ノ  `⌒ ヽ.,__ ヽ
                     | (● ) (● ) ,.! ┴-'、  …。
                     |  (___人___) 〉-‐‐´ l
                     .|       u 〉--‐´ l
                      |        iヽソ   l
                     Λ      ∧`;"   '、
                    __,. ィ仏 ___、___ ィ_ノヘヽ、 _,.‐ー、_
              _,. -= ''' .:::::::}:::::::::::::::::::::::/::::::::>´..:::::::.. ヽ`.、
            ノ´ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::...\::ヽ
          / ...:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::', ::::::::::::::::::.. ヽ:}

「僕は、当たり前のように『次』があることが、嬉しかった」
「だから、次の散歩のテーマの選択にも力が入ってしまう」

34 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:34:42 ID:zgOhGsTM

                  / ̄ ̄\
                /  ヽ、__ .\
               (⌒)(⌒ )   |…熱帯魚がテーマにある小説があるんだ。
              (__人___)     |  今度、貸すから、読み終わったらアクアショップに行こう。
                    l`⌒ ´    |
               |         |
                  | 、   _,.ーへ
            _. -: ::::ヽ__「     v、___
       __,. <::::::::::::::∧:::二〈 、      ∨:::::\
     /:::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::ヽ_〉、    -ー、:::::∧
     /::::::::::::::ト、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー/ ::::::::>:、::ハ
    〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::::::::v::、
    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Λ::::::::::::::::::::::::ヽ|

「僕が選んだのは、大好きな小説だった」

      ,,,,、 ,-‐,  __
     _ < ヽ"\゛"´く_,、
    く. `'"   ` `    \
   ,-‐'     ::.. :.....::::::::::::.. \
   く,,,     ....:::::::.;;, -―‐ヽ_ :ヽ__
  ┌"   .::::::; '´/  ヽ ヽ l'___:.:l\`‐-、==、
   `'7   .:::/  /    ヽ ヽl" l `l:;;; ,`="、
   l,-, `::/         l, .lヽコ l  l :::lヾ= '/__  えぇ、じゃあ、楽しみにしてるわ。
    l_....::;'   l  ,   l   ll  l l,ヽ, l  l  )lヾ=<
     ー、l'l   l  l   l| , l| l,/'l| `、l,'ヽl ,-'ヽ \\ お願いするわね。
      l.l |l l,l, l,l , /l//,,,=t,l lヘ@>'  丶  \\
       ll、 l、 l`      ,r==ミ l|. ll'//`ヽ  ヽ  \\
        `ヾ`lヾ ,x=ミ       l .ハl"  ヽ  ヽ   \ゝ
            l.イヽ    `_ ノ  ,,l /ヾ、   ヽ  ヽ
          //l >- 、 _, '´// ̄ヾゝ、 ヽ  ヽ
        ノハl'´:::: ::::<@>、===ーハ'   ヽ   ヽ

「僕は彼女に、自分が大好きな小説を読んで欲しくなったのだ」

35 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:35:32 ID:zgOhGsTM

「僕たちの間には小説があって、
  ただそれがあるだけで、僕たちはずっと繋がっていられる気がした」

    |    =┛
  ┬|   |───┬───┬───┬───┬
  ││   |      │      │      │      │
  ┴|   |─┬─┴─┬─┴─┬─┴─┬─┴
    │┌ー'|   |      │      │      │
  ┬││;;::│:::┴─┬─┴─┬─┴─┬─┴─┬
  │││::::│;    |      |   .....|   .....|
  ┴│└ー'l;;;::┬─┴─┬─┴─┬─┴─┬─┴
    │   |  |      |      |      |
  ┬│   |─┴─┬─┴─┬─┴─┬─┴─┬
  │|   |      │      |      |      │
  ┴│   |─┬─┴─┬─┴─┬─┴─┬─┴
    │   |  │      |      |      │
    │   |─┴───┴───┴───┴──
    "" ^~ " "


「僕にとって小説は、彼女に繋がる大切な一本道だった」

36 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:36:51 ID:zgOhGsTM


         「そう、僕は、彼女と小説が好きらしい」


      Vk、
       Vト、` ー 、
       Vk `ー、 i
        Vk   l/
        Vk
       〆 .〉
      /   ノ
      ゝ- ´

                f二)
                || l
                ||ノ〉
                レ



         「僕は小説を読むことで、
           少しでも、彼女と繋がっていたかったのだ」





               つづく

37 : ◆gDQ5bE8qg2 : 2012/03/10(土) 22:40:42 ID:zgOhGsTM

ということで、これで一話を終了とさせてもらいます。
毎回、これぐらいの長さで投下していく予定ですが、
「小説」じゃなくて、「小説を読む人」にピントをあわせた話を書いていけたらなぁ、と思ってます。

こんな風な、大きなヤマがある話ではないですが、
もし興味を持っていただけるならば、またご覧くださいませ。
不定期ですが、投下していきたいと思います。

では、閲覧、ありがとうございました!

38 : 名前なんて無いだろ常識的に考えて : 2012/03/10(土) 22:48:02 ID:MT.QIt92

こういう雰囲気好きです。
続きが楽しみ。

39 : 名前なんて無いだろ常識的に考えて : 2012/03/10(土) 22:53:39 ID:4NQMY4Go
乙!
良い話ですねえ。

40 : 名前なんて無いだろ常識的に考えて : 2012/03/10(土) 22:57:15 ID:dOmy2eTA
成程、これはいいものを見つけた。半分の月の昇る空が、少し大人になったような。
銀河鉄道の夜、好きなので名前が出て嬉しかった。乙でした

41 : 名前なんて無いだろ常識的に考えて : 2012/03/10(土) 23:02:31 ID:QeXhT49Q
乙です

42 : 名前なんて無いだろ常識的に考えて : 2012/03/10(土) 23:13:43 ID:Z5SQgupc
乙でした!






小川洋子「海(新潮文庫)」


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