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ナイチンゲール婦長に関するトリビア 第七回 『父、ウィリアムについて』

目次 現行スレ

155 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:08:13 ID:ePB6HGZY0

          /\
        //\ \
       //////\ \
       \///////\ \
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              \///////\ \
                \///////\ /
           -   _  .\/////< ̄\
    >::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<\//// }::::j::::}       フローレンスが看護婦になると決意した際、
 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\//ノ::::ノ::j
/:::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::´_ノ <        最も強硬に反対したのは母のファニィである。
:::::::/::::::::::::/マ:::::::::/マ:::::::::i::::::マ:::::::、:::::::マ::マ:::\´ <
::/::::::::::::/ マ:::::/_ マ:::::::i:::::::iマ::::::}\:::::マ:マ:::::}\  \    ファニィはその後もフローレンスとは
::::::::::/:::::/  レ ー_-マ:::::i:::::::i .マノ  マ::::V:マ:::i_}__  }
ー--{::::::i.  ´::::::::::` 、`i:::::i::::::;i, --  マ::::}::',::::{\ \}     事あるごとにぶつかり合い、最終的には
::::::::::i:::::i { ::::::・::::  } j:::j::::::;j :::::.:: ` .マノ:、`> ..\ \
::::::::i:\i. '、 '''''''' ノ j::/::::/  '::::::::'' } .{:::::| ̄:::`> .\ \   没交渉状態となった。
:::::::::|::::i    ー ´  .j// ,`  _  ´ V:::|::ヘ ̄    \ノ
::::',::::i:::i                     V:|_::\
::::\マヘ::i    .i` ≧ -   j      ノノ、
:::::::::::マ\ _   .{       /     ノ:/::::\
\\_\i    ー __/__  -  ´i/          「看護婦になる? 認めるわけねーだろ、そんなの」
   /           ヘ  /
  /    イ         ヘ´




156 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:08:40 ID:ePB6HGZY0

             __
           . : : : ´: : : : : :`: : : ..、r‐、__
       /: : : : : : : : : : : : :ヽ: :/:`ヽヽミ、
      ./: /: : : :.∧: : : :}、: /: V: : : : :∨ハ
     /: /: : : :./ ハ: : / ∨: : :.|: : : }ハ: V: }    この二人の関係にかろうじて平穏というものが
      ; /: !:.{: /≦三}/ミ、 '. : : :|彡ミ、: V:V!
     l| ⌒|: V / ⌒ヽ  }: : リ ⌒ヽ}:.八>   あったとすれば、それは母親のファニィが痴呆と成り、
     l|: { .l: : { { ::・:: }   }/ ::::・:: }个|:人
    .八.ゝ! : :! ゝ __ .ノ  ´ , ゝ __ ノ .|: !(⌒  フローレンスの介護を必要とした時期だけと言ってよく、
    /: : : 八: {      _        }: |´
    -=≦: : ヾト 。._ .{ : : : У   _ . イ:人   真の意味で和解はこの二人には最後まで訪れなかった。
       ̄ 乂:_:_(   ̄ ~¨  ¨「:人:_}/ゝ:_>
          / .′     | ∨
          .′ {       | }         「ばあさんやご飯はまだかいのう?」
           l{  {YVNVM人}_ .!
           (__ )ニニニニニ]/ノ=<>、
             |^ヽ////.rv'´V`〉⌒ヽ_.〉
             |  { ⌒^´ .}  }.〈: : : :/
             |  {     .}  } `¨´

                        _    _
                       '": : : : : : : : : `: .、
                 /: : : : : : : : : : : : : : : : :\
                 /: : : : : : : : : : : : : : : 、: : : : : ヽ
                ': : : :/: : : : : : :i: : : :ヽ: : :ヽ: : : : : :、
              /: : : :.': : !: : : : : ': : : : :'; : : : :. : : : : :':
               ': :!: : :|: : |: : : : : :ト、: : : }: : : : '; : : : : :':
                 |: :l.: : :ト: :l '; :.ヽ ! \';.l : : : : l.: : : : : :   ,.イ´
               V: :、_ゝ、 \!`>t::ァフ : : : : l⌒; : : :.}/:./
              Y: :ヽ弋ッヽ   ´ ̄ ´l: : : : :.lヽ.} : : /: :/-:.、
                l : : :.  /         !: : : :.:ハ.イ: : /://⌒ヽ     「一昨日食べたでしょう?」
                 l:i.: : :.  ヽ      /: : : :/:´: !: /: : :/_
                 l:l: : : ト.  ー ‐    /: : : /!: : : :,イ__/´⌒`
               ';!: : :.! \      .// ´ .ト.(二ニニ)、
                ヽ: : l   >‐ '"./ _,..イ l./:./:)l、 〉
                    \l   l\!,.-‐ ''"    V:./、ハ \
               _,.--、___l .!          V: :.ノl__l\!
                / /二ニ/ヽ ,'      ./ rー<)! ', 〉
             ,イ ./ /  /   V__-‐ ''" -‐!    ` </、

157 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:09:08 ID:ePB6HGZY0

                 /: : : : /: : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :V_):\
             /: : : / : : : : : : ′i: : : : : : : : : :i: : : : : :V__)ハ
            ‐-=≦: : : : : : : : :i.: .:| i: : : : : : :: ::|: : :i: : : :V_):ハ
             : : : : : / i: : i.: : .:|.:_.:|_|\i: :i: : : ::|: : :|: : : : V: :⌒`
               : : : : :/.:.:|: : |.:.:ィi|\:N  ヽ ! : : : |:_:_:|: : : : : : :{
            i : : イ ィi:|: : | : :|,ィi笊夾ミ :ノ: : : /.: .:ノ: : : : (: ::{    そんな二人が珍しく意見が一致した時がある。
                ノ.:.:.:.:.|:i:/ |: : |\|ヾ 乂ノ ⌒>:/ィ爪}: : :/:ハ: :.
            .: : : : : |:i\|: : |  `     ::::::::::   V/:レ:' /: : \:.  それは、
          / /: : : : |:i:i:i八: 、          `  /: : ::イ `、: : : \
            /:7: : : : : Ⅵ(:i:i:}\\ u        /:: : :: ::|   V: : }
           {: : : V∧:Vノ^'<: : :}h。   (: : ` ィi{: : :V: : !   ノ.:.:ノ
           {: : : : V∧:V    ̄‐=ミiト。s≦i:i:i:i{〉: : :V :!イ‐=彡
             V,: : : :\V:V    /A\ 〉~^‐-=': : :/V:ノ

            .、__人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人
            .)                                            (
            .).  うちの一族の連中は揃いも揃って頑固で怒りっぽすぎ!!... ...(
            .)                                            (
            .⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y

                      . -―――- .
                   . :´:/ : : : : : : : \: :` . 、
                 /: : :/: ; : : l: : : : ヽ: : ヽ: : : \
                    , . : : : : : /: : : l!: : : : : |: : : : , : : : :ヽ
                /: : /: : //|: : : :| ヽ : : :/: : : :, : : : : :',        ということだった。
                  ,: /: :' \_/ | |: :_jI斗*''~: |: : : : : : : : : : }  ,.イ
                   |/: :イ : : jIヽ|∧: :|,ィ茨ミ,リ l: : : :| : : : : :|/: /      無論、自分も含めて、ということだろう。
                 / /: | : f芋ミ    ̄ ヒ」 ムイ: : : :|): : : :./: : /_
             /イル |ヘ_} ヒ」,        /: : : :.:|: : : :/: /: :.ヽ    その程度の自己認識はあったと思いたい。
                     从: :}          //: : : :/ : : //:/⌒ソ
                  /: : :八    __    'イ: : : :イ: : l≠≠》k、
         __       ヘ: : : :| ヽ  V  ヽ  /: :./ レ'ム云云≠=‐-、
                    \:.|   \`  ̄ ∠_/, -ニ三㌻        /',

158 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:10:03 ID:ePB6HGZY0

                  . . .-――-. . _
               . . ´ : /: : : : : : :ヽ :`: 、
                  /: : : /: : : : /: : :|: : :', : : :\   /
                /: : : : / : /: :__/: : : :|: : : : : : : : ヽ   /
              ': : : : : |: : | ´ /:.`ヽ,イ : :.:|:.| : : : |l: ',  ―
            |: : : : : :!: : |: :/И: / И: :ナナメ : |:!: |         確かにこの女傑の不屈さは、母方の祖父によく似ていた
          _|: |: : : (|: : |レf≠ミ、   ̄  ! ! : :!|:/
         ((⌒ヾハ: : : |: : |  切}   ィ≠ミ、l| |: :ノ ′        と言われる。他にも、金に頓着しない点や、
          `,.-‐ミヘ: : |: : |        切} リ:イル'
          /: :/⌒ヾ≠): :|ヽ       イ: :| l:|           患者と晩餐会のゲストという違いはあるものの、他者への
            | : {  ソ: :|l≧ミ_ゝ \ ィ ァ/|: |ハ
          ヽノ 人/`寸三≧} `ーく=-_И:|            ホスピタリティ等、明らかにフローレンスは母親譲りの性格をしていた。
             _-==ノ`''< ̄~' {アニニフ  ̄ - _
         _-==/>s。 `''<//´,二」  ,  ´}           姓はナイチンゲールだったものの、フローレンスは
       _-=ニニ/     >s。ハ  ´r=J /   |
         {ア´⌒\           `', ´ ャノ `''< |          性格的に母親の家系であるスミス一族の性質をしっかり
         |     \} /       _-ハ  l}\   `ヽ   ,-、-、__
       ,       'i{       /-_ノ   リ-_ V  _ヽ-'、l }マ }ュ`i  引き継いでいたと思われる。
       ∧       l    /三三≧'__ン、} _= }   〉`, ,`´/
       / ∧      l:.:.  /寸三三三ヤ : :| _= |  /     /
       / ∧        !:.: . /   `マ三ヤ: : :.:|_=  {,.イ    /
       / ∧      l : /       ̄/: : :  |= ,イニ{   、,ィ´
         ./ ∧      |:/        / : :   _= ./ニニム  /=}
           / ∧    イ       /:     _= /|二二ムイノ=|
          / ∧   {      /    ,,ィ ̄| マニ二ニア
            ./ ∧          /    ∥| | `寸ニア´
                〉、      /`'''<_,_{{__,|__|ー‐'' ̄
             /  >―<>s。  ∥  } .}} }
           /           ̄ヽ_j__}},ィ'
           〉、              ||  }
         ///≧s。             ||  }_、

159 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:10:25 ID:ePB6HGZY0

          /     , 、 v,
         /_     l   l      ,、
           /     l--、__.l       /∨
          レv   /   `l ,   /--∨  ll        そして、二人のそんな性格は
           ∨  l ━━".∨i   /.-- ∨ /l
     ず      ”八l     / ` ’'. ━━∨ i  イ     父親であるウィリアム・ナイチンゲールとは
      ず        l    〈          レ'
       ず      {     `         r- '     似ても似つかないものだった。
            r---`-- ,         / ト、/
           _ '--、     ` ,    ,x≦  /.∧
         ,-' 、--、 `,     /-- '      /  ∧
         i   、--、 `,     /、     /
        イ   、--、 `,    /  >  <      /
        /.}   、--、 `,    / /  r-、 \    /

160 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:10:44 ID:ePB6HGZY0

                    r、
              r、/:::\__ノ|
            ノ:::::::::::::::::::八
             ¨7::::::::::::::::::::::::>
               <::::::::::::::::::::::::ゝ
            从::::::::::::::::::从
.                乂{从ル'.
           >-‐"~ ̄~~‐-<_
           / |       / / ヽ                 第七回 「父、ウィリアムについて」
           ,' .| /``~、、{/
          ,'  ',       |i   |
             ',      .|   |
         {   ∧       .!.  |
               /       |.  |
         |   | .〉ニニニニニニ|
         |   |/       .|   {.
         |  /  /.!       |   V
         |  〈  /=|    .八   ',
         |  |¨¨ニ ̄ ̄ ̄ ̄‘,  ',
         | ̄||ニニニ/|ニニニニ‘, }
         乂{{|ニニニ/ |ニニニニ } ̄|
           |ニニニ,' .|ニニニニr'  ノ
           |ニニ=-  !ニニニ|  ̄
           |ニニ=-  iニニニ|
           |ニ=-.   !ニニニ|.
           |ニニニ|   |ニニニ|.
           |ニニニ|   |ニニニニ|
           /ニニニ}.   !ニニニ|
             ニニニニ,'   ニニニ,'
          ,'ニニニニ    {ニニニ.{.
          |ニニニ/    ',ニニニ!
           |ニニニ      ',ニニニ!
            |ニニ=       ニニ.|
.          |ニ=-        |ニニ.|
.          |ニ=-        |ニニ八
.           |ニ=-|.     .|ニニニ\__.
         | ̄ ̄)     | ̄ ̄ ̄ /
             ̄ ̄       ̄ ̄ ̄

161 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:11:36 ID:ePB6HGZY0


           ヾニニニニニニニニニニニニニニニニニニア
.         _,イニニニニニニニニニニニニニニニニニニア
.       ゞニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニミh、  ウィリアムについては伝記の著者によって評価はわりと異なる。
.          /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニア
.         ,イニニニ< ◯ 〉ニニニ〈 ◯ >ニニニ〈   彼について、家族内でフローレンスの
.          `ミニニニニニニニニニニニニニニァ―''`
             jニニニニニニニニニニニニニニl     唯一の味方だったというものもいれば、
.           イ‐''フニニニニニニニニニニニニ|
               マニニニニニニニニニニ从    娘の事を最後まで認めなかった頑固者だとも言われている。
.               'ツニニニニニニニ-ゝ
              ,,ノニニニニニニ乂,,_

162 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:12:42 ID:ePB6HGZY0



                 ,: ,..-_,.ィ
               、-‐.、/:{::::::::::::ノ-.....ィ
          、..イ:::::::::::::::::::::::::::::、::::く
           /:::::::::/:::::::ハ:::::ハ::::::`、     その理由はおそらく、フローレンスの人生において
           ノ:::::::::::l::/::/,ノ-、, ‐、::ゝ
            ̄j:::;:‐:、{´  { /}i.ヽj:ノ    この人物は母のファニィ、姉のパーセノープらと比べて、
             '"八`_   ゝ-' ゝ'゙ )
            / .‐ `,.-‐`、ー '_イ     影が薄いことにある。この男は他の二人ほどには
              /ヽ(   し_// 厂ヽ }
.            〈、_ > ,...`_´ ,.'"`ヽ     娘の人生への干渉しようとしなかった。
         /`ー=,..'"    ',.ヽ  i .|
__-=ニ二二二ゝー'"    ',  .! l  l .〉     つまり、記録が少ないゆえに評価がぶれるのだろう。
ニニニニニニニ>---‐=ニl  .l .ノ‐''" `ヽ
 ̄―-=ニニニニニニニニ( ̄´ `ー、-‐'゙
             ̄ ̄ ̄―=>---- '

163 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:13:10 ID:ePB6HGZY0

                   /
                  /〃──-ェ,,
               ,, < { l      ` 、
              /            \
               /               ハ
.             /              _  ハ
            /   /i   i\      ム マ ゞニ=-‐       で、娘であるフローレンスは父親の事をどう思っていたかだが……
           ''.   ; マ ト、ム \、     ム マ i!
          ∥i   |__マ; \゙、 _\ヽ l\ム ヾ\
          ∥ |   |__`  ``  _マ, iヽ ヽ} | /
          " . |   i弋歹ヾ    ''弋歹ソ} |    ' }
            }八 ヾ、 ̄  .:i    ̄ ,i! |   /    ノ}     「父は一つとして、事を成し遂げるということがありませんでした」
              |ハ∧ヽ   `     / i! |  /! _ェ==' /
             / マ \  ー-‐  ,イ ノ/ / r´-─ "__ ____
               ∨、〕i:.、 __ / ム'´  ヾイ: ̄入─-ヾ ̄ ̄ ヾ
          ≠三ニヽ__| ̄`li!l ̄ ̄´ ヽ /: : :/   ̄\===''
         // {    {  iノ_|i!|_{┼}/ `|: : : /      ̄ ̄ヽ__     と極めて辛辣な評価を下している。
     ,, < ´  |   |  //       ヽ: /         \゙===
   ,,<         |   | //         y              \
   '             |   |/           \           ∧
  ;             |   |             i! \/         ∧
   ,            |   |             i! 'i |\         ',
   ∨        |   |             |\            }
    マ        |   |             /  \            /
     ヽ       l   l            イ    \_____/
      }        l__l             ∥!ヽ    /  !
     /        lt─‐tl          ∥  ム-‐─' ィ }'

164 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:14:02 ID:ePB6HGZY0

              _ ,ィイ:::≦,._..: ,
            ..,≧::::、:::::::::::::::::::ン、
           ≦':::::::::::-::、::::::::::::::、::ド        この男は娘や妻と違って生まれながらに裕福だったわけではない。
            ,ゝ:::::::::::::`:::::::::、::::::::ヾゝ
           :::イ:::::::::ハハ::::::::::::}::::::ヽ       若い時は人並み程度にはお金に困ったこともあったようだった。
         ./ '"`!:::::{_ lイ::::ノ:ノ:ハ:::トヽ.._
        /    ヾ:ハ rュ '"''ェィ./     ':,   それが突然、親戚からの相続が転がり込んできて、金持ちになってしまった。
       .l      ` ヽ 、', /'"      .;
        }         `´     _..   ;   さらに幸運は続き(フローレンスは不幸と評したが)、相続した土地に
       .!    イ、     ,:    ハ` ヽ   ;
        ;    l_ヽ   ,.:   -/  V   .:;  鉛の鉱山が発見され、何をしたわけでも無いのに金に不自由ない
            .l ` ヽフ < /   ヘ _.  .l
        ':   l.._ ヽ : - ' l、    ./´  .l  生活が送れるようになってしまったのである。
         l   ヽ≧ ‐-‐≦三ヽ―ゥ'    ノ
        ./≧、.  ヽ三棗三三三ニ,:'   / ̄¨ 、
       /三三\  ゝ、三三ニ./ - //      ヽ
       {≧三三三く__..ノ 、三/   /ニニ〈  _   ノ
       ヘ三三三三} ハ ':!/, .ノ≠ ̄  ̄ _.. ≠'
        ヘ三三ニイ{j ハ  〉'-{_、! < ̄ ̄´
          `´ィ==ミ、-ー'-'ヘv彡ニヽ、
           辷云'ノ    ド=辷ソ
               ィ、,。、,、、,
              ぐツソンハ从

165 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:15:02 ID:ePB6HGZY0

  \: : : : : : : . . .        : .  : . .      |/ l
-= '_: : : : : : : : : : : : :  .   : : .  . .   .   | ノ
 /: : : : : : : : : : : : : : : . : : . . : : : : . : :  : .  ./ -,
'´: : : : : : : : : : : : : : : : . : : : : : : : : ,、: : : : : : . :   /
`ヽ: : : : : : : : : : : : : . . .   . : : :/  `ヽ 、: : : : /
/__: : : : : : : : : r =ヽ: : : : : : . ._./      ヾ、/      結婚もできたのもその財産のおかげだった。ファニィの父は
  /: : : : : : : /   i : , - '´   、      /
  /__: : : : : : l ヽ-ソ        \、    l      財産のない男と娘を結婚させる気はサラサラ無かったからだ。
  /: : : : : :ゝ  i        、  ヾヽ.  |
   ̄|: :彡´ ヽ_ v         ` -=' ゙ r
-== ラ´.      l              l
  f      / .l..     u.        l     「うちの娘はかなりわがままに育ってしまったからな。思う存分、
: :i;;;;ヽ、    /  ヘ             _ ,
: :ヾ;;;;;ヽ    l    \      -= - ' ´     贅沢できる家じゃないと絶対に結婚生活はうまくいかん」
: : : \;;;;;ヽ  |     \.     ,-'
: : : : : \;;;;;ヽl      . ヽ   ./
: : : : : : : \;;;;;;ヽ、   /;;;;;;冫 - `l
: : : : : : : : : :\;;;;;;;;;`7//|;;;|: : : : : : l           実際、ファニィはウィリアムと結婚する数か月前までは他の
: : : : : : : : : : : : : : 7/´  レヘ: : : : : : |
: : : : : : : : : : : : : : | |   f  /: : : : : : |         男と結婚するつもりだったが相手が裕福でなかったため、
: : : : : : : : : : : : : : | |/;;;;l  |ヽ : : : : : |
                               父親の同意が得られず断念している。

166 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:15:49 ID:ePB6HGZY0

             ノ}
              /::::斗r七:::::....ノ}
        _{V:::::::::::::::::::::::::::::::::≧n、      こんな人生だったからか、良くも悪くも、
       _,ノ::::::::::::::,、丶`:::、:::::::`ヽ、::::}h、
      ⌒ア:::::::::::/::::::::::::::::i/ヽ::::::::::ヽ:::<⌒   ウィリアムには執念というものが欠けていた。
       /:::::::::::::/::::::::::::::::::|"~}::::::::ヽ:`、::'、
     _ノ::::::::::::::/:::/:::::::::::/} i{::::::::::l:::::l:::::ゝ  例えばだが、彼は若いときから政治活動に興味を持っており、
      ⌒>:::::::::{:::/l二二二  二二l:::::l⌒ヾ
      /::::::::γ寸〃 凵    凵 |/ヘ    一度、国会議員の選挙に出馬しているのだが、
      ⌒>::ヽ          '    l
        杁x介 、        _,、 丿    選挙で賄賂が横行しているのを見て、政治に絶望し、
       /─-z、7≧=‐z─ 、\ `、
         l ``ヽ、 /    ll  ヽ Y ‘,  二度と政治活動は行わなくなってしまう。
       l ‐-  X≪ニニニニニ「 :|  ̄:!
        ヽ    ∧     ||    | Τ ̄l  また娘の看護婦という進路を翻意させるのを最初に
          }、   ∧- -‐ Y⌒ | |   |
          |ヽ          }_,.| l  |  諦めたのも、彼である。柔軟とも言えるが。
          | ゝ_,,.. _ 。r≦二  乂_ ノ

167 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:16:11 ID:ePB6HGZY0

                    ,.'"                 ` 、
              /   /
                    ,.'        |           '.,
               /    /   ./      | l| l  |     /,
            ′  l |  | l{ l{ !|  | l| l  |      /,
             !{  | l_」|_ | l{ l{_」」_ | l| l  |  l|  l   /,
             !{V | l |V |V', { !| `~| l  |  l|  |  |       そんな半ば植物のような人生を送った彼が
             ゙{. ヾャ==ミ ヾヾ」L二L」_| l  |  l|  |  |
.              / /ゝ ゞ'     _Vソィ~"  |-、 |  l.  .: 斗ァ     情熱を示し、そして(彼の望んだ形ではなかったが)
             ∥ ,' : ',. /          //  l| | |  l   ,' / .ィ/
.              !{ l{: : :{ く          /イ./ ,' /_ノ| ! //s≦/    成果をあげたのが娘への教育だろう。
.              ゙{V', :八 、     / // /l/ ∨ l| /, '.。s≦ミメ、
                  \:{ヾヽ  ̄     />' /.jI斗 /./斗- ミメ、ヾ}
                  `  ∧___ ..。s≦ _ -ニニ}-、⌒ヽ`Y   `\
                        ,ィf_ -ニニニ二二}ア -_ _}ヽ:`Y
                       _ -V}二二ニニニ/ニニ-_ _}ヽ:`Y
                _ -ニニ/リニニニ>'"/二二ニニ-_ _}ヽ:`Y
                   {ニニ/O :V¨¨´: :. :./二二二二ニニ-_ _}ヽ:`Y
                   {>'"/: : : イ: : : : : :./二二二二二二ニ-_ _}ヽ:`Y
               . . : :´:/>''"´: : : : : : : :./二二二ニニニニニニ-_ _}ヽ:`Y
         ,.'": : :.,.'": : : : : : : : : : : : :./二二二二二二二二ニ∧___}ヽ:`Y
         /: : :. :., ': : : : : : : : : : : : :. :. :./二二二二ニニニニニニニ}、__ヽjヽ:`ー、
.       ,.': : :. :. :./: : : : : : : : : : : : : : : : :.{二二二二二ニニニニニニ} 乂_ヽ}ヽ : ',
     ,': : : : : W: : : : : : : : : : : : : : : : : : {二二二ニニニニニニニニ、}   乂_ヽ}ー'}ヽ
.    W: : : : : : : {: : : : : : : : : : : : : : : : : : :V二二ニニニニニニニニニ`¨ニ=-  _ イ .ノ
     {: : : :. :. :./,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : V二二二二二二二二二二二二二二ニ=- _
.     ',: : : :. :. :./,: : : : : : : : : : : : : : : : :. :. :.`ー--=ニユL」_二二二二二二二ニニニニ}

168 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:17:14 ID:ePB6HGZY0

            <::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
               ノ:::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::i⌒
.             ⌒7:::::::::::::/::::::ヽ::::}:::::::::::::::::::::::\::::::::::::::∨
              ∠::::::::::::::::::::::::::::::∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
            /::::::::::::::∧:::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::|⌒     娘二人への教育は当時の上流階級で一般的だった
                {:::::::::::::/ ',:::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::: |
            八:::::::::/   ', ::::|\ト、::::::::::::::: /、::::::::::: ::::\    家庭教師ではなく、彼が直接教授する形で行われた。
             从:::/x==ミ \|  x≠ミ`、:::/  .}::::::::/¨¨⌒
                  ∨ノ|           ∨ __ノ:::/       分野はフランス語、イタリア語、ラテン語、ギリシャ語などの
                      ノ         /::::::/
                  圦   `  _    ノ ∨         語学、各国の歴史や哲学、それに数学や自然科学にまで
                        ∨::::::ノ イ   }
                    \ ____、‐''゛  。s≦、        及んだようだった。女子への教育としては当時の
                     ノ\__,,。s≦   ∧
                     _,.。 ''  .ハ      / \      水準からすると異例と言っていい程に充実した内容である。
               _,,.. -‐ ''"´/⌒\  ∨    /  ./ \
           /     ./ /¨/¨|_ ∨。+・'‘´  ./
                       /  ./ 〉      /      \
          ∨      | \〈〉    ./      /            \
          /        ノ   ∨⌒  ./\   /           ∨
          |    ./   |/   ./   \/                  ∨
.      ./   .|   /|                            |
      /   .| / .八    /               |         |

169 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:18:04 ID:ePB6HGZY0

                _               ,ィア
                    マk、         Ⅳ
                   Ⅶk             {ニ、       __   __
        _,、__         Ⅳム            Ⅶム       ⅥY:i:}:i:ト.、
      _,≠ミkミiミⅣr― 、 /ミメリ         マニハ、_  <⌒V, ヘⅣハ
      Ⅵ^'γ辷ン/ //ミメリ              マメソミk_ ヽ__) γLソ
         ゝ-ノ  >ィ7〈 ム爻シ′ _ . .-―――-. .-マンハミk///≧x_  ヽ
         /_ニイ'///∧.!ニニ{イミ}ィk、 : : : : : : : : : : : : : :`マハム'/////〉  ̄`     もっともこの授業を真面目にこなしていたのは
        ゙̄寸////>V彡'リミリハ7: : : : : : 、: : : : : :l: 、: :、、マ}ム////
           マ/,イ   ∨シミ/ハ7: : :.|、: : : |、: : : : :|!:|ヽ: |!:ヽ:ヽ/^V        妹のフローレンスだけで姉のパーセは
  /ヽ/|/ヽ_ V∧    Vソハツ: : : :.| \:.\ヽ: :.ル|//ハ:ノ^/__
  |/レヘ/|__/  /∧ / l `ーァ‐ミ:| :|-≠ミk`´V ー'_,イ: :マ////>       ことあるごとに母親への元へと逃げ出すのが常だった。
           ∠////〉__}  }   }、:〉 :::::     .、 "⌒゙ |: :ヽV/ノ´
  /∨\/フ   (///⌒、 )/V 辷|     ___′ ::::::ヽ: : }ヽ:\
  ヽ|ヽ|\/   /: :>']  |∧´  ∨八  γ´∨  `ヽ   八: |、ハ: : ヽ
  _       /:::/  `ー'しヘ    ∨:.:\ |       ノ /ヽ)}:|_ノ! : : |
  ∨ム       |::::|     /: ∧    \: :}>_ー―‐ ´_イイ  ´{ |  |: : /       「ギリシャ語なんてつまんなーい!」
   Vム     !l从  ,ィ7: : :.:∧    >廴___ ̄) ̄ /: |   l/  ;/
    `マk、    _ ィア/: /: : : :ハ `  /ニ/|| | |マk /: : |
       Ⅵ  ,ィ//ア/:./: /: :/: |l  /ニ/ .! l l ! マ': : : |
   _  }l| ム/ンイ:./|: ハ : | : | /ニ/ / / .! | }: : : :l
   |::::::`ヽ}Ⅳ/´ ´ ̄   |/ ヽ| : |,/ニ/ / /__-ム. | | : : : \
   |::::::::ニミV´ ̄ ̄〉   '    ヾ:|ニアz≦二二7ニ_l l: : : :l\:\_
   |::::::::::::、j"´:::::::ノ           }二二二二l≠l二Y∨ヽ:ヽ_ ̄
   ' ̄ ̄ムハ:::::/       _jニ二二二l≠l二ヤ^    ̄
     ム{_-=≦三三三三マ二≧寸ニ二/ニ二/
     Ⅳ-=≦三三三三三-寸二-≧=≠=ニアム
     /イ三三三三三三三/-寸二二∧二二ア=-_
     (⌒}三三三三三三/三三ニ≧ァイ三マア´\三ニ=-_
    ^γ寸三三三三/三三三三/三三ム三三ニ\三三三≧ァュ

170 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:18:42 ID:ePB6HGZY0

                     , >` - ー―― - 、
                  ___/            `ーフ
                  >        ,__/\    `、
                 /          l    i    ト、_
              ___/           l    l l∨   l⌒     なぜ彼が世間一般の常識と異なり、
               7                l.   ∨ レノ  ̄i
               /               l           l    娘達にこうした教育を施したのかはよくわからない。
                ̄/         v ノ           l
                /        ` 、             l     授業中の父と娘はまるで、友人のようだった、
               ⌒l          ̄\_       /
                 ∨、 、      |        /       とも言われているから、学者肌で家族で唯一の男性である
                   '\,、    ノ      /
                      レv_ /      {         この男は案外大した意図もなく、同好の士が
                        /  ` --   __v' ∨
                     /、        l/\ Y- 、     ほしかっただけなのかもしれない。
                     /   ` 、      l\/.〈  i}
                ,- ≦  ヽ     `  ---' .◇ \ l
               l       ヽ    /       ||  >ト,
                /        ヽ /      ,x ≦,x '∨
               l          '   , x ≦ ,x  ||  ∨
               l          ≪_____,x      ||  .∨
               l         /          ||  /
               l        /   、          ||  i
               l        l        __     ||   l
              .l        l.             ||  /

171 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:19:26 ID:ePB6HGZY0

          _
       r ⌒、\\
        ∧ \ __、_j_ノ
        { \ノ(_ )                     __
     ___L_j___  ィ                  、丶`  ⌒``~、
    fニニニニニニニ=‐',               、丶`               、
.     Vニニニニニニニ=‐〉                〃              丶      何にせよ、この時のウィリアムの教育は
.     Vニニニニニニ=‐{             i{   /    / i{          ',
      V⌒ ̄     ,            八 \{N  厶ィハ         ',    婦長のその後の活躍、ないし暴走に一役
      ',        ',                /\病カ\{ 病かアV  }    }
         ',      `、           /  /厂〈         /   /´}   jL _  買ったのは事実である。
        ',       〉,          i l/ l  r== ┐   ,'  厶ィ′  /⌒ ̄
          ,     /⌒``~、、       v/ 心.  l:::::::::l  ,'   /⌒  / /ア⌒  二十才前後の時に出席したある会合で
           ',            ``~、、    ∧└= ┘ 厶 ィヘV//^>′
          ',            \ <⌒\会=‐ _  ´  /^\イ⌒ト    エジプト史や地質学についてまで専門家と
          }                 ``~、>/(ハ_  イニニニ/__>、ソ  )\
          ``~、、                   |⌒|  Vi{ニ(@)=/ 寸ニ≧s。 )\渡り合ったと言うから相当なものだろう。
              ``~、、          {/ |  l   L{ニニ彡゙    ⌒\ニニ>、 ハ
                       ``~、、   /^  |  |  Oア7         V/  \j
                       ``/      |  | O //         /     、
                         '       ∧ ∨//           /        \
                       {        ∧ ∨/           {         \
                      人       ∧ ∨           {          \
                            、       ∧ ∨         \           、

172 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:20:49 ID:ePB6HGZY0

                    r、
              r、/:::\__ノ|
            ノ:::::::::::::::::::八
             ¨7::::::::::::::::::::::::>    さて、冒頭に述べたウィリアムの娘の
               <::::::::::::::::::::::::ゝ
            从::::::::::::::::::从    職業選択に対する評価だが、やはり一貫して
.                乂{从ル'.
           >-‐"~ ̄~~‐-<_  肯定的なものではなかったと思われる。
           / |       / / ヽ
           ,' .| /``~、、{/
          ,'  ',       |i   |
             ',      .|   |
         {   ∧       .!.  |
               /       |.  |
         |   | .〉ニニニニニニ|
         |   |/       .|   {.

173 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:22:14 ID:ePB6HGZY0

                                 〈\      姉のパースや母親がフローレンスの看護婦という
                                       ∨゙\
                                       |__ハ  選択に父親よりずっと強硬な拒否反応を
                                       |___}|
                                    /⌒ア/  示したのは事実だが、そんな彼女らも
                             . -=ニ  ̄~_,/
                           __   // ⌒77゙´     クリミア戦争の際は多少なりとも、彼女に協力的だった。
                        /二-_ /二-  |{ ̄ 厶{
                   |二二二-_二-_ ,〉斗匕⌒\            / ̄〉
                   |二二二二\/ )/ 二二〕___          // /
                   L 二二.,,__/  //. : : : : : : : : `. .     / ∨
                  /|二二二,⌒7 . : : / : : : : : : : : : : : .V⌒ヽ|/ ハ
                   /:/|二 ,///V´/. : :/. :Χ:/. : :/ : : : : : ∨/ |,〉'}__,}
                  /:/  乂./\|¦.∨. : ∧: トミ\ / . : : /. : : :〈 ∧.ノア′
               . :/        ∧| (,| : /. :Ν /斥:`:/: :/|: / : : ∨ |/      「フローがボールを送ってくれって?
              |: ′      /: 八 ,リ: : : |/  └'' |∧:/_//| : : |\リ
              |: :       /. ⌒゙个|: : : |  '''     (x=ミリ : : し'゙二二‐ __   そんなもの、何に使うのかしら? まあいいわ
              ∨       . : /|: :¦|: : 八       仏ジ : ∧|ニ,\二二ア
                      //  : : : : | i : 「`   ‐┐   '''ノ )/,>ニ|二\/ニ〉  必要って言うなら送ってあげましょ」
                     //  /. :/ : :| i : :|\     イ∩:|--二.人 二 〉/
             ー=彡 ´    /. :/. : : | i : :|ニ{ 「 ̄: i 「| | | l |i⌒゙'┘ \:\
                       __厶斗‐ァ'八: :.!,VL : : i :| ¦; |八       `、: .
                       /二二,/ /\ ‘((__{,(\l  ノ!: .\      : :|
                     二.//⌒゙ /〈〉/:\〉⌒ ∧ ゙Y´ ノ:jI斗‐┐     |: ;
                  |二|{  }/二/|{〈〉}|∨二八,{/二∧ニニ| 、   |/
                  |二|{ :/〈〉ア^  :|{二}|: ∨二‐〈二二.∨ニニ|  \,丿
                _ -‐…━|〈〉|{ |二/    :|{〈〉}|  ∨〈〉‐∨/二‐  ̄__)‐┐` ‐-
              「⌒\  八ニ|{ |ニ7    ,|{二}|  |{二}l|,〈   〈'⌒^  |__
          〈 ̄ ̄\ ∨^ ∨〉, ∨__,,... 斗--- ミ.、 |{二/  ̄:    V /  | \
          }、    \|r'⌒∨〉,〈ニ/二二二二二`V,/   '.  ⌒〈‐ミ¦  \
          〈 \    \____∨〉,∨二二二|〈〉|二二 (_    '.   ∨ノ
          `V⌒ヽ, -‐‐- ミ|二| 〉二二二|二|二二i二〉  ⌒>.   〈  / ____}
.             └'゙⌒Y⌒^     \⌒ヽ,二二|〈〉|二二i/-=ニ/} '.    \{  〉≧=一

174 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:22:48 ID:ePB6HGZY0


          >''~| _______ノ|
      ___Y:::::::::::::::::::::::::::::/___
     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
   /:::::::::: ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈     だがこの時期、父親に関しては何らかのアクションをとったという
  ⌒7::::::::/::::::::/ ̄`、::::::::::::::::::::::::::::::::\
   /:::::::/::::::::/    \:::::::|\ :: ト::::|⌒  記録はほとんど見られない。唯一、娘の置かれた危機的な状況を
   /:::::::::::::::::::|   ○ \ |○\| ソ
  ./⌒7:::::::|\|            |    知った時にこの男としては珍しく激怒の色を見せたというのがあるが、
   ./::::::: |                |
..   ̄ ̄ヽ|       ⊂⊃     |    かといってその状況から娘を助けようという行動をすることもなかった。
..      |                |
..      |                |     もっとも実際問題として、この男に何かができたとも思えないが。

175 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:26:01 ID:ePB6HGZY0

                                     。+/
                         ∧/|__。+・'‘´::::/
                   ___,,.. -‐ '' "´::::::::Y::::::::::::::::::::个s。      確かに、父親はフローレンスが看護婦という道を選んだことを、
                フ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈
                  <::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ミh、__  事実上、最初に認めた家族である。彼は生涯に渡って娘が
                    ⌒7 ::::::::::::: ┌─‐┐::::::::::::::::::::::::::::::>'´
                / ::::::::::::::::: |   .l::::::::::::::::::::::::::::::::∨   家から離れ、看護婦として独立して生活するために
                  __ノ:::::::::::::::::::::::|``~、!::::::::::::::::::ハ::::::::::::∨
                  ⌒Y :::::::::::::::::::: |筏㍉ノ:::::::::::/ .|::::::::::::::::',  不自由ないように収入を得られるよう手配もした。しかしそれは、
               ノ:::::::::{ \|\{乂ソ/イ:::/r佗ぅ|::::::::::ト--\
                ̄ ̄|乂_      レ   ゞ-'..|`, ::: |
                  |::::: ',             /ノ::::N    「しょうがないな。フローには負けたよ。あとこれ、お小遣い。
                  |:::::::::',   ヽ      /\::八
                  レ' |/込     ̄            お母さんには内緒だからね」
               _         / ≧s。__  イ
            /⌒ヽ   ¨ ー─イ   /  .| |
             /   ∨    / \__/<>| |
           .ノ      |   /        <> \\_____     というホームコメディに登場する娘に甘い
         .-‐==‐-   |  〈ロ≧=-  、、__|::|_  \ |  |   ヽ
.      〈        |   ヽニニ /⌒`ニニニ≧=-ロ〉 |   |   父親という内容とはいささか異なる。
      /        .| /  /、 ヽ \〉|::| ̄ ̄ ̄ ヽ }   |
      /       .//  ./   ヽ ト 丿|::|       ∨  .八

176 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:27:24 ID:ePB6HGZY0

_从/(____、--ミ/}
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈
::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
::::::〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 八__ノ}
::::::::: ̄\ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ノ  娘の看護婦という進路を後押しする少し前、
::::::::::::::::::::`、 :::::::::::::::::::::::::::::::::: イ
::::::::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::::::::::::〈     フローレンスが看護婦になるかどうか、という激論を
::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::: `、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',   家族がしている最中に書かれたと思しき彼の走り書きには
::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   主として以下のようなことが書かれている。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::: 八
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 ::::::::: >
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /  ̄
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /
::::::::::::::::::::::::::::::::::/∨`¨       「パースのことが心配だ。あの子とフローは別々に
::::::::::::::::::::::::::::/ /
 ̄ ̄乂/从≧sイ           暮らすべきだろう」
         \
______ 丿
         `ヽ
    > -──-ミ.
  /.:.:.:.:.:.:.:.:   \
 ./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:   \_
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:    ',
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>‐-ミ .    }
.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨.  ,'
.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨ .i
..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨ {.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |

177 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:28:56 ID:ePB6HGZY0


      ノ:i:i:i}              i{:i:i:i}h、              _ ,< >''"
     /:i:i:i:/               `'<:i:}h、        _ ,< >''"
    /:i:i:i:i/          _,,.. ..,,_    _`'<}h、   _ ,< >''"
   .i:i:i:/       ≫''"´: : : : : : : :`'≪i}h、}h、 V∧< >''"
   :i:i:i/       /: : : : : : : :`、: : : : : : : V∧:i:iV:i:/^^^^7
.  i:i/    ____ : : : : : : : : : : : :.`、: : : : : : :V∧:i:iV ̄`'<
.   {i:{ ___/:i:i][:i/ /.: : :i: : : : : : : : : : : : i : : : :V∧i:i:i.\    >        どういうことかというと、姉のパースは
.   {i:{ih、 i{:i:i:i:][:' /: : : :i|: :i: : : : : :i_:_i ‐ ! : : : : Wハ:i:i{   / 、
/ W}h、}h{:i:i:i:][i/ : : i: :l|_ ‐、.: .: : :|i.:.|斗jセチ : : : ̄ }^ゝ‐彡': : :丶、      看護婦になるという妹の選択に反対したのだが、
    寸:i:}h,Ⅵ:i八!: : :i|/ V \ : 八 {: ・ } i : : :: / .r‐.、 \: : : : :\
   ( ̄ア Ⅵi:i:{ : : l| ji斗fセチ ヽ :: 'ゝ- ゛ :: : : i/  {  }\. \: : : : `、   その反対の仕方が常軌を逸していた。
    >'  . Ⅵi:{: : 八{ ',・ ):::::::,    _  i: : ::|i /\ jn、 `、 ` 、: : :.`、
>''" /__   v∧从∧ `¨゛  _. : : : V} i|: : ::||i(   \,ノ\    \: : :`、
>''" 厂: : /\__}⌒^ii⌒`、;#;  〈: : : : : :ノ ||: : ::|j斗‐‐/i__\   `、   V: :ハ   「看護婦になる!? 一体、何を考えているの!?」
   /: : : /    ̄  . ||: : : i}h、   \-- ‐=‐  /\__ ⌒7⌒`丶、,〉、  }:/ : :}
.  / : : : ′       .||: : : :V: : ≧s。...,,,/ ,ィ/ / ノ\′  >__{ニ}h、/ ∨   馬鹿なの!? 非常識にも程があるわ!
  : : : : ::       八i : : ::V: : : : }h、' ィi〔 / / / /i{__ ,//{ }h、ニ` 、
  i: : : i:i      ./: : | : i: : V: :_ノr‐‐ ' j7.// /∧:{‐‐=≦⌒`寸h、ニY  \   ああああああああ!! 痛い痛い痛い!! 頭が痛い!!」
  |/\l:|     . _ --: : -=≦ニ=‐rニミY/i//:∨ニニNニニニ=‐>'^ヽ ヽ!
 / (__\   _ ‐/ア´ ̄ : : ̄    /ニニ7i|{//ニニ‐_    ̄ ̄ /   \
    ⌒ヽ) /7    \{   _-=ニ7ニイ ‐=ニ=‐_      {__      `、
 i  Aア'/ア´         \_‐ニニ7i=〈:〉=li ‐=ニ=‐_    r‐=ニ=‐  }`、   彼女は一度スイッチが入ると酸欠で気絶するまで
 |: / `¨ア         /ニニニ7 i|ニニニl|  ‐=ニ=‐_  __{    ̄‐ニ} ^`、
 | /   i{      ィi{ /ニニニア :l|ニニニl|   ‐=ニ=‐_^7ニニ == ‐‐ V ∧  妹を罵り続けたという。
 |i:     八  _.ィi〔.: : :.Vニ〈〉 7 . ::||ニニニl|   ‐=〈〉ニ}‘ {     _ ‐ ∧_'∧
⌒!  /  \ ̄ ̄ }: : : Vニニ7.: :.: .:||=〈:〉=l|: : .  ‐=ニニ!′\_ ‐ ̄ ./ 厂⌒ 父親は知り合いの医者からこのままではパースは精神に
\ <     }   ̄ \: : Vニ7:_:_:/八 人 八\:_:_: ‐=ニ|: :i\: \_____/__/ ̄
  \ \ ‐‐=⌒ヽ______}: : :V7  _ ‐=ニ}ニ{ニ=‐ _  ‐=八:|  `、: :厂 ̄´    変調をきたす恐れがあるとまで言われていた。
 _/ニ==‐ ‐‐… >'⌒: i :}{‐=ニ ニニニ∧ニニニニ ニ=‐ {:. . !   ∨ V∧
 ̄     //i: : :/   i: ::八i{ニニ]=ニニニ∨ニニニニ[ニニ[: : :    }  V∧    もうとっくに変調をきたしている気がするのは1だけだろうか?
      /  :|: :/   j / ..}{ニニ]ニニニニ][=ニニ== [ニニ[\:`、     }:ノ
         八 {     :/  八ニ]=ニニニ〈〉ニニニニ[ニニ[\\`、  '"´
         \   '  /\ニ7ニニニニ][=ニニ== [ニニ[⌒  \、
-- ‐‐ -- ___ - __/ニニア≧=- _∧_  ‐=≦ニ`、
ニニニニニニ=‐ ‐=\ニニアニニニニニYニニニニ}h、ニニ}h、  _
ニニニニニニニニニ=‐\=ニニニニニニ∧ニニニニニ}h、ニ/ニニニニ==‐‐ _

178 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:29:29 ID:ePB6HGZY0


                     , >` - ー―― - 、
                  ___/            `ーフ
                  >        ,__/\    `、
                 /          l    i    ト、_    姉がどうしてそこまで激烈な反応を示したかは別の機会にするとして
              ___/           l    l l∨   l⌒
               7                l.   ∨ レノ  ̄i   つまり、彼がフローレンスに対して行った金銭援助は第一の目的として
               /               l           l
                ̄/         v ノ           l   この姉妹を引き剥がすことにあったと思われる。
                /        ` 、             l
               ⌒l          ̄\_       /     顔を合わせなければ喧嘩のしようもない。つまり、
                 ∨、 、      |        /
                   '\,、    ノ      /
                      レv_ /      {        「もういい。認める。認めるからもう家から出てってくれ。
                        /  ` --   __v' ∨
                     /、        l/\ Y- 、     生活に必要な金は出してやるから、それでいいだろう?」
                     /   ` 、      l\/.〈  i}
                ,- ≦  ヽ     `  ---' .◇ \ l
               l       ヽ    /       ||  >ト,    というようないわば手切れ金に近い形だったのかもしれない。
                /        ヽ /      ,x ≦,x '∨
               l          '   , x ≦ ,x  ||  ∨
               l          ≪_____,x      ||  .∨
               l         /          ||  /
               l        /   、          ||  i
               l        l        __     ||   l
              .l        l.             ||  /

179 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:31:35 ID:ePB6HGZY0


                             ____
                       、丶` ⌒  _ ⌒``ヽ、
                         /    /         、  丶
                     '     /         \   ,
                        /   /  {      \       ',
                    /   /           ',      ',    いずれにせよ、父親が認めたことでフローレンスは
                  ′   /  /  {         ,      {
                  i{   /   '{   {、         {      {   実家から物理的にも独立し、そして彼の財産に死ぬまで
                 八 斗=ミ/ \ { `、  |     {      {
                     |\jVり^ }  斗==ミ、 |     {      {   支えられることになる。
                     |  {^¨^ 7   Vり >|     {ヽ     ',
                     |  l  /     ^¨¨^^ |     {) }   }     ,
                     | ∧            |     {ノ  '     }    もし、仮に父親が一度目の落選にめげずに
                     |  l∧         j    {  /   !  /__
                     |  | i〉, ‘ ’     /     ∧ r=ミ、 j/⌒i}  政治活動を続けていたらそれに膨大な金がかかったわけで、
                     |  | |/ 、 __   ィ,′    /Lノ{ニ[う)(ニ(うソ
                       八  、ノ   ⌒}  7     /⌒ ̄ ̄ }(⌒\    ナイチンゲールが思い通りに活動できたのはある意味
                       \ノ   f⌒ v厶イ⌒{/ニニ}    人\  }、
                   xfニニニニニニ{ニ} i{ /ニニニニニノL /{  )   ノハ   父親が「一つとして事をなしとげる事がなかった」
                  /  ̄/ ̄ /⌒\_j{ノニニニ=‐ ´( ((⌒\   (  }
                  ,    /   /   厂 ̄      ``~<≧s。ノ>  おかげかもしれない。
                    /   /   /   /              ``~ノ、
                /   /   /   /                /  }                     第七回 おしまい

180 : ◆JDoh5u/I1A : 2018/02/25(日) 22:32:51 ID:ePB6HGZY0
今晩は以上です。ご覧いただきありがとうございました。
次回はまた再来週くらいかな、と思ってます。

181 : 書き込みが反映され辛いようです。連続投稿にご注意を。 : 2018/02/25(日) 22:56:24 ID:EnAaiE7Y0
乙です

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23433 :日常の名無しさん:2018/02/26(月) 16:58:42 ID:-[ ]
ええ・・・・ むっちゃ博識で学がありますやんか・・・・
そこんとこ評価してやりましょうや、金があっても英語も満足に話せず簿記3級に大苦戦した人をよく知ってますよ。
23441 :日常の名無しさん:2018/02/26(月) 21:10:07 ID:FZ55A1xU[ 編集 ]
頑固な妻とヒス持ちの娘と超頑固な娘に囲まれてたから相対的に意思が弱く見えたのでは?
23453 :日常の名無しさん:2018/02/27(火) 09:39:08 ID:-[ ]
父親の何も引き継いでいないなんで嘘じゃないかな
言い過ぎた間違いだと思う
娘は父親から物事見極める目を養い、受け継いだと思うよ

ただ頑固成分も入って後年高官クラッシャーになったけどさ
23527 :日常の名無しさん:2018/03/03(土) 00:46:47 ID:oUlld6/Q[ 編集 ]
こんな女3人に男1人が囲まれてりゃそりゃね…
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